2018年2月10日土曜日

キャディにクラブを選ばせるのは悪い習慣だ!

「キャディにクラブを選ばせるのは悪い習慣だ。いつもいいキャディに当たるとは限らないからだ」――ダグ・フォード<ゴルフは名言でうまくなる>

1/21(日) 6:01配信
幻冬舎plus
岡上 貞夫

 この言葉は、「諸君は自分でクラブを選ぶことを学ばなければならない。なぜなら、諸君自身以上に諸君のスウィングをよく知っている者は他にいないからだ」と続く。

 1955年の全米プロ選手権に優勝したダグ・フォードのこの言葉は、決してキャディは役に立たないとか、無用だとか言っているわけではない。フォード自身も、試合におけるキャディの重要さはよく心得ているに違いない。

 ただ、キャディは選手の体調や心理など内面までは理解できないから、最後は自分で決断すべきだというのが、この名言の意味合いであろう。

 クラブメンバーでも、ビジターであちこちのコースへ渡り歩いているような一般ゴルファーでも、どんなキャディさんに当たるかは、その日その日の空模様のように予測不能だ。

 さらに言えば、セルフ乗用カートでのアメリカンスタイルのコースも増えており、キャディさんそのものがつかないプレーも、最近では多くなってきている。

 ダグ・フォードの言葉は、そんな現代のゴルフ事情を見通していたのかどうかは不明だが、今となってみれば、先見の明があったように思う。

 クラブ選択をする際に、考慮すべき主な点を挙げると次のようになる。

(1)目標までの距離
(2)ボール周辺のライの状態
(3)ボール地点と目標との高低差(打ち上げか?  打ち下ろしか? )
(4)風の向きと強さ
(5)目標周辺の状況(ハザードの位置・OBの有無・地形など)
(6)自分の球筋


(1)目標までの距離
 最もキャディさんに頼って聞くことが多いのが、目標までの距離であろう。

 中部銀次郎さんは、「コースのヤーデージ表示杭や木は必ずしも正確とは限らないし、それが自分の目測と合わないときには心に余計な迷いを生むから、常日頃から目測を正確にするように訓練するべき」と言っておられた。


 外国と違って、日本のゴルフ場はヤーデージ表示が行き届いているから、グリーンまでの距離は自分で判断するように癖をつけることが望ましい。キャディなしセルフプレーも多くなっているから、なおのことであろう。

 ただし、ティーからフェアウェイバンカーまでの距離とか、フェアウェイを横切るクリークまでの距離とか、谷を越えるには何ヤード必要かというような場合は、目測でしかわからないから、コースをよく知っているキャディさんに聞くほうが正しいことも多い。

 しかし、私はあまりGPS測定器やキャディさんに頼らず、自分自身で目測して打ってみるほうをすすめたい。

 先に距離を聞いて答えを知ってしまうよりも、目測で想定した距離が、打ってみたら合っていたのか、短かったのか、長かったのかを検証するほうが楽しいからだ。

 結末を知ってしまって映画を観るよりは、知らずにあれこれ想像しながら観るほうが楽しいのと同じである。
(2)ボール周辺のライの状態
 これは、重要かつ厄介なポイントで、飛距離が落ちるだけでなく、逆に飛びすぎてしまうこともあるので、ボールのあるがままの状態はよく観察する必要がある。

 フェアウェイから7番アイアンで135ヤードキャリー、ラン5ヤードで140ヤード飛ぶ人が、ラフから140ヤード先のグリーンセンターを狙う場合を考えてみよう。

 うまく打てたとしても、ラフの深さによってキャリーは次のように変わるだろう。

 ●真上から見なければボールを確認できないぐらい深い最悪のライだと、キャリーは半分程度になる

 ●中ぐらいのラフで、ボールが見えている場合は、キャリーが3分の2程度となる

 ●浅いラフの場合、キャリーは10~20ヤード程度落ちる

 これらを踏まえ、キャリーの着弾点を推測してハザードなどを避けるプランニングは、大叩きを避けるにはとても重要だ。

 いずれの場合も、ボールとクラブフェースの間に芝がはさまるのでスピン量が減り、ランは多くなるから、トータル距離のコントロールは難しくなる。

 花道が狭かったり、ハザードが危険だったりするなら、さっさとオングリーンを諦めてショートアイアンで打ち、次打に懸けたほうが賢明だ。

 ハザードがなく、花道も広いからなんとか届かせたいというときは、長いアイアンを使うより、思い切ってソールが厚くラフでも抜けやすい9番ウッドやユーティリティなどを選択し、やや短く持ってコンパクトなコントロールショットをするほうが確率は高いと思う。

 一方、浅いラフのときで、とくに9番以下の短いクラブでは、フライヤーと呼ばれる棒球(ぼうだま)になることがある。

 思ったよりも飛んでしまい、スピンが少なく、止まってくれないから、グリーンを大オーバーすることがあるので要注意だ。

 ボール周辺のライということでは、ラフの深さだけでなく、傾斜の状況による球筋の変化も、クラブ選択をする上で影響を考えなくてはならない。

 いずれにせよ、ラフからはナイスショットしにくくなって、飛距離のコントロールが難しいので、手前から攻めるのが鉄則となり、そういうクラブ選択が賢明である。

 とくに、キャリーがどう変化するかによってクラブ選択を考えると、コースマネジメントが一変する。読者諸兄も一度キャリーでコース攻略を考えることは、是非おすすめしたい。

(3)ボール地点と目標との高低差(打ち上げか? 打ち下ろしか?)
 少し打ち上げとか、少し打ち下ろしぐらいなら、あまり神経質に考えなくてもいい。

 しかし、150ヤード先の3階建ての家の屋根に打っていくぐらいの打ち上げなら、1番手長いクラブを持つ、その逆の打ち下ろしなら1番手短いクラブを選択するのが一応の目安である。

 ただし、9番アイアン以下の高い球筋が出るショートアイアンでは、飛距離の差はあまり大きくない。ミドルアイアンで10ヤード程度差が出るなら、ショートアイアンはその半分以下と考えていいだろう。
(4)風の向きと強さ
 これは経験を積まないと会得できないかもしれない。

 どれぐらいの風力なら1番手上げる(下げる)あるいは2番手上げる(下げる)、状況によっては3番手変えるという判断は、肌で感じて経験してもらうしかないと思う。

 アゲンストではボールの落下角度が地面に対して垂直に近くなるので、ランが少なくスピンも効きやすいが、フォローでは落下角度が地面に対して浅くなるので、ランが多くなる。

 アゲンストの場合は横回転が入ると空中での曲がりが大きくなるが、フォローの場合は小さいということも覚えておいて損はないだろう。

 横からの風の場合は、球筋が高いショートアイアンほど流される度合いが大きくなる。狙う方向を大きくずらす必要があるが、5番や6番アイアンを短く持ってコントロールショットで打ち、ランを多く使って攻める方法もある。

 これらを総合的に判断して使用クラブを選択するのだが、いずれにせよ、経験値を積むしかないので、風の強い日を嫌がるのではなく、いろいろと試して楽しむことが、読者諸兄のゴルフを進歩させることと思う。
(5)目標周辺の状況(ハザードの位置・OBの有無・地形など)
 自分のボール位置から打っていくと、どうしてもバンカーのほうへキックしそうな地形、OBが迫っていて心理的にプレッシャーを受ける地形、目標周辺の地形やハザードが厳しい状況……。そんなときに目標へ届くクラブで無理して打つと、メンタル的に嫌な予感を引きずっているからミスをしやすい。

 要するに、予感のとおりハザードやOBへ吸い込まれてしまうのだ。こういうケースでは、思い切ってハザードまで絶対届かないクラブを選択することは、むしろ勇気のある決断といえる。

 刻むのは、決して恥ずかしいことではなく、大叩きを避け、スコアアップにつなげる高等な戦略なのだと胸を張っていただきたいところである。

(6)自分の球筋
 球筋がドロー系であれフェード系であれ、届く距離が一緒なら同じ番手選択でいいと思われがちだが、実はよく考える必要がある。

 フェード系は一般的に球筋が高く、キャリーが多くランが少ないのに対し、ドロー系は球筋が低くなりがちで、キャリーは少なくなってランが多めとなるからだ。

 【(1)目標までの距離】でも記したが、キャリーの距離でゲームプランを立てるのはとても重要で、キャリーでどこへ着弾するかを見極め、ハザードなどを避けられるクラブを選択しなければならない。

 このように、そこから何番で打つべきかというクラブ選択に際しては、多くの要素を分析しなければならず、まるで複雑なパズルを解くかのようであるが、だからこそゴルフが人々を狂気に駆り立てるほど面白い所以でもある。

 あれこれ考えすぎてスロープレーになってはいけないが、短い時間で(1)~(6)を総合的に判断して答えを出し、選択したそのクラブで打った結果が思い通りに出たときは、なんとも言えないほどの達成感がある。

 そして、そういう経験を積むことが、読者諸兄のゴルフを向上させることにもなると思う。だから、安易にキャディさんに聞いてクラブを選択してもらうのは、はなはだもったいない話なのである。
今回のまとめ
 1. 使用クラブを選択するにはあらゆる要素を検討しなければならないが、その中には自分自身の体調や心理なども含まれる

 2. よって、キャディさんから情報をもらうのは悪いことではないが、最終的なクラブ選択は自分自身で決断したい

 3. クラブ選択の際には、キャリーの飛距離がどのぐらいになるかで状況判断することがいい結果につながる


■岡上 貞夫
1954年生まれ。慶應義塾大学で体育会ゴルフ部へ入部、本格的にゴルフを始める。卒業後はサラリーマンとして月イチゴルファーとなるも、名言から得られる閃きを生かしシングルハンディを維持。そんな経験やヒントを伝えることで、多くのゴルフ仲間に恵まれた。
現在も定年後再雇用のフルタイムサラリーマンながら、鎌ヶ谷CCにてハンディキャップ7。若い人たちにゴルフのさまざまな魅力を伝えていきたいとの思いで、ゴルフ仲間の輪を拡大中。今回が初連載。


◾ki銀次郎
ゴルフ本来のあり方は、自然を相手にする競技だと私は思っています。GPS機器を多用して自分の力量を明確にするのは練習場だけでいいのではなかろうか?

機械に頼らず自分の読みが当たったときに奪ったバーディほど嬉しく楽しいことはない!だからゴルフの醍醐味はグリーン上のラインを読むことに集約される。


グリーン上でラインをキャディに聞くのは楽しみを他人任せにしているようなものではなかろうか?毎週同じゴルフ場に来ているメンバーさんがキャディにラインを聞いている風景を私は不思議で仕方がありません。

また、親切心からかGPS機器をお持ちの方が、訪ねてもいないのに距離を教えてくれるのもまたいかがなものかと感じてしまいます。

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