棒はどこにでも落ちていた。道具を手にした人類と、
道具をついに使わなかった類人猿。棒を手にした者が勝ちを収めた。
しかし、それが手に余る巨木であれば、どちらにも、意味はなかったはずだ。
使いこなせる技術と、使われる道具の間に、一つの必然性があるのだ。
第3章:ヘッドに関する誤解
◆重心が低いほど打ち出し角度は高くなる
ドライバーでスィートスポットが下の方にあると、普通は必ずといっていいほど、スィートスポットか、あるいはそれよりも上で球を捉えることになる。
すると、インパクトの瞬間にヘッドは、下の方が前に出るようなかたちにねじられ、ロフトが大きくなって、打ち出し角度が高くなるわけである。
さらにスウィートスポットより上で打つとどうなるか。ほとんどの人は、ボールがフワッと上がってしまうと考える。ところが実際はギア効果が働き、全く逆の結果になるのだ。
つまり打ち出し角度は高いが、パワーヒッターが打てばボールは放物線を描いて飛ぶのである。よくいわれるドロップという球筋だ。
さらにフェースの上部に当たって、ボールがフェースからはみ出して当たると、俗にいうテンプラボールになるわけだ。
一方、スィートスポットよりも下で打つと、打ち出し角度は低くなるが、バックスピンが強くかかるために、途中からぐーんと伸び上るような球筋になりやすい。
フェースの先の方に当たるとフック、ヒールの方に当たるとスライスになることは、アマチュアもよく知っている。そして、その理由はギア効果が働くからだ、ということもよく知っている。この場合は、クラブヘッドを真上から見たときのギア効果である。
ところが実際のギア効果は、この方向だけではない。真横から見た場合にも働いているのである。つまり、フェースのずっと下の方に当たったときはバックスピンが強くかかりボールは上に上がる。
フェースの上の方に当たると、通称ドロップボールといわれるように、スピンが少なくなって、ボールは低くなるわけだ。このギア効果については、アマチュアはいうまでもなく、プロでもほとんどの選手が誤解しているといってもいいくらいだ。
例外的に正しく理解していたのは、かつてメタルヘッドをいち早く使いはじめたリー・トレビノである。
彼はアゲインストではフェースの下の方で打たないこと、フェースがオープンにならないように気をつけて、フェースの上で打ちなさい、と言っている。
これとは正反対のことを書いているレッスン書も多いので、疑問に思うゴルファーも多いだろうが、パワーヒッターはドライバーショットに限り、トレビノの方法が理屈にかなっているのだ。
竹林隆光
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中部銀次郎「ゴルフの極意」(杉山通敬)の106頁にはこんなことが書かれています。
中部銀次郎さんの“慣性モーメント”に対する質問には次のように答えている。
竹林隆光
『インパクトはクラブヘッドとボールの衝突現象である。その衝突現象が起こるまでの“道中”のクラブヘッドは加速状態にある。インパクトに向かって加速する』
『加速されたクラブヘッドは一個の回転物となり、外からの力が加わらない限り、そのまま回転しつづけようとする。衝突してもなおも、回転軌道に乗って走りつづけようとする。これが慣性』
『その慣性の大きさ(質量)のことを慣性モーメントという。当然のことながらクラブを振ればヘッドもシャフトもグリップも回転する。この3つにそれぞれの質量があり、回転することによってヘッドとシャフトの軸まわりと、グリップエンドを中心として、慣性モーメントが関わる』
『この慣性モーメントの大きさは、クラブという物体が持っているもので、スウィングの仕方によって変化するものではないのだが、それぞれの質量が効率の良いものなら慣性効率は大きくなる』
『当然、スウィートエリア(スポットではない)に正確に当たれば、慣性モーメントは大きいから、パワーのロス(減速量)も少ない。フェース面も狂わない。したがって、正確に飛ぶ』
中部銀次郎
「じゃあ、振り抜けがいいクラブは慣性モーメントの質量が効率の良いものになっているわけね」
竹林隆光
『そうです。その人のスウィング特性によって変わります。中部さんのように、シャープなスウィングをする方は、ヘッドの“重心距離”が短いほうが振りやすいはずです』
竹林隆光は、これまでに100種類以上のモデルを設計、商品化している。アメリカでも知る人ぞ知る、クラブデザイナーのセオリストである。いわゆる“デカヘッドの長尺ドライバー”を流行らせた、影の仕掛け人である。
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全体が把握できるように長い文章を掲載したが、
「シャープなスウィングをする方はヘッドの“重心距離”が短いほうが振りやすいはず」
我々アマチュアには、こういう知識は貴重な情報ではなかろうか?
ki銀次郎
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