2017年1月24日火曜日

石川遼が4時間アップをする理由。好スタートの陰に新・肉体調整法。Number Web 1/24(火) 7:01配信

腰を痛め、昨年2月から戦線離脱を余儀なくされた石川遼が、2017年の自身の米ツアー初戦をカリフォルニア州のPGAウエストで開催されたキャリアビルダー・チャレンジで迎えた。34位で発進した初日。石川は体のケアに関することを、こんなふうに語り始めた。

「スタートの4時間前からホテルでウォーミングアップを始めます」

4時間も前から? そんな話を石川の口から聞いたのは、彼が米ツアーにスポットで挑み始めた2009年以来、初めてのことで、だからこそ驚かされた。

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驚くと同時に、少々首も傾げた。スタートの4時間も前からウォーミングアップしたら、スタートするころにはすっかり疲れてしまうのではないか。4時間の内訳はどうなっているのか。いろんな疑問が浮かんできたが、石川は、さらに言葉を続けた。

「自分の体を知る。自己治癒力を高める。体温を高く保つためには、どうするべきか。マッサージでほぐすだけでは筋肉は強くならないですから」トレーナーは「マッサージ、まったく致しません」。
それは、マッサージでほぐす以外に何か別のことをしているという意味なのだろうか? 
だから4時間も前からウォーミングアップを始めるのだろうか? 
私の頭の中に浮かび上がったさまざまな「? を、翌日、石川の現トレーナーにそのままぶつけてみた。すると、驚くなかれ、こんな言葉が返ってきた。


「いいえ、マッサージはまったく致しません。コルセットやテーピングもほとんどしない。その場しのぎ的に体に何かを施すということではなく、体の根幹から、根底から、治すんです。強い力は要りません。ゆで卵に傷をつけない程度の力で、軽く手と頭を触るだけで調整できるし、治療もできる。費やす時間は1日せいぜい30分から40分だけです」

トレーナーから、そう聞かされたときは、失礼ながら、最初は信じられなかった。「脳からカラダを治します」を実際に体験してみた。
「脳からカラダを治します」

トレーナーの名刺には、そう謳われていた。その意味も最初はわからなかった。百聞は一見にしかずということで、石川がそのトレーナーから受けている肉体調整法のほんの一部を、私が実際に体験してみることになった。

「立ったまま、背中側で両手を(手のひらを上にして)組んでみてください」

言われた通り、私が背中側で組んだ両手のひらの上にトレーナーは自分の拳を乗せ、体重をかけながら押し下げていった。

「こらえられるだけ、こらえてくださいよ」
まるで手品か魔法のように重心の調整が。しかし、ある時点で私は体のバランスを崩し、よろけてしまった。同じことを背中側だけではなく体の右側、左側、正面でも行った結果、トレーナーは私の体の歪みを即座にこう指摘した。

「重心が体の右前に動いてしまっている。でも、すぐに治してさしあげましょう」

右手の甲、左手の甲、そして頭を本当に軽く優しく触るだけ。所要時間は、わずか3分? いや、2分? 

「はい、重心の調整ができましたよ。それでは、もう一度、両手を組んでみてください」

数分前に行ったのと同じように、体の前後左右で組んだ私の両手の手のひらをトレーナーが押し下げていくと、さっきまではすぐにふらついてしまった背中側や体の左側で、私の体は全然ふらつかなくなっていた。体全体、とりわけ下半身の安定性が増したと実感できた。

それが「脳からカラダを治す」ということらしい。

すごい! まるで手品か魔法のようだった。肉体を芯から強化するというトータルケア。ほんの一部ではあるが、そんな治療を体験してみたことで、石川が口にした言葉の一つひとつの意味が頷けてきた。

「マッサージでほぐすだけでは筋肉は強くならない」とは、重心を整えた上で体幹を鍛え、筋力を増やし、肉体を芯から強化するというトータルケアを指していたのだ。

「グッドショットを打てたときよりミスショットしたときに、ああ、体のバランスが悪いのかな、体幹が弱いのかなと感じる。僕は腰も膝も悪かったので、傾斜地を歩くのも以前は結構怖かった。でも今は傾斜地を当たり前のように歩ける。周りの筋肉が膝を支えてくれている」

石川が現トレーナーによる治療を開始したのは、米ツアーに正式参戦を始めた2013年からだった。最初のうちは他のケアと併用していた時期もあったが、いろんなトライアルを繰り返した末、今は短時間で高い効果が期待できるこの治療だけに絞っている。

スイング練習の時間以上に、体のケアや筋力強化を。その一方で、石川自身はスイング練習にかける時間を減らし、体のケアや筋力強化に費やす時間を格段に増やした。

「どのぐらい増やしたか? 倍増どころではなく、それ以上に増やした。腹筋、背筋以外の筋力も鍛えています。その効果が感じられるようになったのは、4カ月か、5カ月ぐらい経ってからかな。体が変わるのには時間がかかります」

試合の日でもスタートの4時間も前からウォーミングアップを開始する背景には、そんな事情と目的と努力があったのだ。

「自分の体を知る。自己治癒力を高める。完成するまでには時間がかかります」「数か月前に打てなかったショットが、打てた」
その先にあるものこそが、技術の向上と成績の向上、そして優勝の二文字。今週は苦手としていたコースながら予選通過を果たしたが、50位に留まり、悔しさも残った。だが、手ごたえもあった。

1年前、数カ月前に打てなかったショットが、この状況で打てたという現実、現状を知ることができた」

今が等身大で見えるようになった。だからこそ石川は未来という次なるステップへ、きっと移っていける――。
(「ゴルフPRESS」舩越園子 = 文)
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次から次へと新しい治療方法や練習方法が出現してきます。正直どの方法がどれだけの効果があるのか疑問に思うことも多々あります。

ただ私はプロゴルファー石川遼が大好きです。いままでも彼に、彼のプレーに勇気づけられて生きてきました。1日もはやくPGAでの初優勝を祈念しております。

ki銀次郎

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