2015年10月6日火曜日

竹林隆光の間違いだらけのクラブ選び

棒はどこにでも落ちていた。道具を手にした人類と、
道具をついに使わなかった類人猿。棒を手にした者が勝ちを収めた。

しかし、それが手に余る巨木であれば、どちらにも、意味はなかったはずだ。

使いこなせる技術と、使われる道具の間に、一つの必然性があるのだ。


第4章:ヘッドに関する誤解

◆ドライバーの重心距離はアイアンのそれに近づけるのが理想

もう一度重心距離に話を戻すと、「うまく扱えれば」という条件がつくが、飛びからいったら重心距離が長いほうが有利だ。

それは、シャフトの中心線を軸とした慣性モーメントが大きくなるからだ。


重心距離とは
スウィング中に働く慣性モーメントには3つある。
一つは、クラブの手元を回転軸としたときの慣性モーメントで、これは主にクラブの振りやすさに影響する。



極端な例としていえば、重くて長いクラブよりも軽くて短いクラブのほうが振りやすい。これはクラブの手元を回転軸とした慣性モーメントが小さくなるからだ。



二つ目は、ヘッドの重心点を回転軸する慣性モーメントで、これは大きいほうが、仮に芯を外してもヘッドはフェースの向きを変えずにそのまま運動を続けようとするのでミスをカバーしてくれる。言い換えるなら、この慣性モーメントは大きいほうがスィートエリアが広くなる。



三つ目は、シャフトの中心線を回転軸とした慣性モーメントだ。スウィング中のクラブは、ネックを軸としてフェースを開いて閉じるという回転が働いている。

 

この慣性モーメントは重心距離などの影響が大きく、重心距離が長くなればモーメントも大きくなるので、フェース面をうまくコントロールできれば大きなパワーが生れる。



その代わりヘッドがターンしにくく、操作性という点では難がある。ついでに言うなら、重心距離はスウィングのリズムやテンポとも深いかかわりがあり、仮に「振りやすいな」というクラブがあったとすればそれは重心距離が自分に合っているということでもある。



その意味では、アイアンとのセッティングを考えた場合、ドライバーとアイアンとの重心距離を揃えることも大切だ。


ドライバーとアイアンとの重心距離を比較した場合、多くのゴルファーはドライバーのほうが長いと思っている。だがむしろ逆で、アイアンのほうが長くなる傾向にある。



ドライバーがパーシモンだった時代はアイアンとの重心距離はほとんど同じだったので問題はなかった。ところがピン・アイの登場とともにキャビティバックが出てくると、アイアンのほうが一挙に長くなってしまった。



逆にドライバーのほうはメタルヘッドで以前よりも短くなって、アイアンとの開きが大きくなってしまった。
これでは、ドライバーとアイアンを同じテンポで振るのは難しい。


幸いにも今、ドライバーが大きくなる傾向にあって重心距離も長くなることが予想されるので、それはいいことではあるが。



ここで、重心距離はドライバーとアイアンどちらを基準にしたらいいかというと疑問が起こるかもしれない。



結論からいえばアイアンである。
スウィングのテンポに影響をおよぼす要素としてはクラブの重さや長さ、さらにはそれぞれのタイミングなどがあるが、クラブでいえば重心距離が大きなウェートを占める。



しかも、コースでもドライバーより使用頻度が多く、練習場などでも打つ球数が多いアイアンの重心距離によってその人のスウィングテンポがつくられることが多い。



その意味では、アイアンの重心距離をベースにして、ドライバーの重心距離をそれに近づけるのが理想である。
竹林隆光



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