ハーフ49を出したら、フットジョイのゴルフシューズを買ってもらえるというゴルフを始めたばかりの少年の自問自答。
7番ホールのティインググラウンドに立った時点で10オーバー。
あと3ホールをボギーで上がれば49でフットジョイが手に入る。
クラブを短めに持ち、2回ワッグルをして打つ準備に入る。
ところが打てない。
2回目のワッグルのときに、クラブの打部がほんの少し砂にかすり、その感触が、わずかながらはっきり手に伝わってきたのだ。
手に受けた感じはごまかせない。
USGAのルール13-4に、
ハザード内でボールを打つ前に、ハザード内の地面に手またはクラブで触れてはならない、とある。
規則違反には2罰打が科せられる。
2打のペナルティ。くそっ。50を切る望みが、すっかり消えてしまう。
『待てよ』と自分の声がする。
『周りを見渡してみろ。おまえはひとりでプレーをしている。誰にもわかりはしないさ』
『うん、でも、ぼくにはわかるよ』
バンカーから出ると、できるだけ気持ちを落ち着け、もう一度戻ってかまえ直す。
すごくいいショットが打てて、タイトリストが大きく2回跳ねたあと、
カップの手前6インチのところで止まる。
これまでで最高のバンカーショットだ!
その短いパットを入れたあと、ぼくはポケットから汗で濡れたスコアカードを
出して、スコアを書き込む。
6打。
もしクラブが砂をかすらなかったら、つまり、自分以外に目撃者のいないあのルール違反さえなかったら、4打で上がれたわけだ。
頭の中でフレディの声がする。
「もし蛙にポケットが付いていたら、きっと銃を忍ばせておいて、蛇を撃つだろうな」
この蛙にポケットは付いていないかもしれないけれど、
正直に1日を過ごしたから、きっと今夜はぐっすり眠れるにちがいない。
こんなに気分のいいダブルボギーは初めてだ。
(>_<)
数をごまかそう、自分にウソをつこう、こんなことはゴルフに限らず生きていれば誰にでもあるでしょう。
生活の中で犯しても、誰も指摘したり叱ってもくれません。
しかし、ゴルフの場合は黙って友を失うことになる。
ゴルフはそんなすごい力をもっています。
ゴルフをしていて、8打か9打かわからなくなったら、10と言えば誰も疑わないでしょうね。
もし、10と申告したときに、『いや、8打だよ』と真実を言ってくれる同伴競技者がいたならば、その人とは一生大切に付き合うべきですね。
『いや、8打だよ』この言葉の中にその人のすべてが表現されている。
ki銀次郎
0 件のコメント:
コメントを投稿