私の大学の8歳下の後輩が、ことしから母校のアメリカンフットボール部の
コーチに就任したとの挨拶があった。
彼は社会人チーム時代にアメリカにコーチ留学をしたほどの人間である。
彼から私の「コーチング理論」を聞きたいといわれたので食事をしながら
コーチングの話しをしたときに渡した文章です。
参考になれば幸いです。
ki銀次郎
(大前提は・・・)
指導者は、学生アマチュアスポーツ選手を指導しているということを忘れてはならない。
(学生アマチュアスポーツのあり方の追求、人間形成を最終目的とせよ)
(コーチの必須科目)
ルールブックの1ページから最終ページまで熟読し、プレーに有利なルールは全て把握し、選手に実行させる方法を身につけるべし。
(ルールブックを開いたこともなく、経験だけでコーチしている人間はコーチをやる資格なし)
(全力を尽くすべし)
『今日1日選手に対し全力で向かい合ったか自問自答すべし!苦しむべし!』
(1)選手の能力を「導く」からCOACHという(優秀な選手は勝手に上手くなる、
下手な選手を上手にするのがコーチである!)
(2)部が抱える問題は全て正面から受け止め、解決に努力するべし
(アメリカンフットボールを教えられればいい、などと言っているようでは
コーチとして失格!)
(3)常に勉強すべし(練習方法・指導方法・メンタル・ケガの応急処置等を
常に情報を吸収する意欲を持ち続けること)
(4)怒鳴ってばかりいる指導者は第三者から無能と見られていることを
自覚すべし、自らの指導方法の稚出さを恥じるべし。
(叱ると怒鳴るは別もの)
(5)選手の安全を第一に考えるべし
(緊急時マニュアルを作成し、部員全員に把握させる)
(6)昔の間違った練習方法に疑問を持ち、間違っていると判断したら
即刻やめるべし。
(7)試合に負けて大声で選手を罵倒し、なおかつしごきもどきの猛特訓をする
監督・コーチは大馬鹿者だ!(しごきと特訓は別もの)
(8)チームの「和」を重んじろ!
縁あって入部した選手、スタッフは一人の退部者も出さないように努力と配慮すべし(全てにおいて選手、スタッフをとりまく環境を把握すること)
(コーチングの8ヶ条)
まだ学生である選手たちは環境に影響されやすく、意識すら変わってしまうことがある。
好きで始めたアメリカンフットボールがつまらないと感じたり、やる気が出なかったり、しまいには辞めてしまったり、選手のモチベーション(動機付け)に大きく影響するのは、指導者が作り出す環境と選手同士が作り出す環境(いじめなどもその一つ)のこの2つだ。
指導者の追うべきところは範囲が広く責任重大。
だからこそ真剣に付き合わなけれ ばならない。
(1)選手とのコミュニケーションを頻繁に交わし、
聞き役に徹する努力をすること。
(各コーチは必ず1日最低1回全員に話しかける。文句を先に言わない)
(2)目標、目的を達成させるための、より具体的なプランを持ち備え、
それを選手に理解させ、意欲を引き出すこと。
(指導者は意欲を引き出す方法を常に考え、計画性と継続が大事)
(3)叱るよりまず褒めること。選手の長所を探す努力をし内的要因を出させる。
(苦手を克服させるより、得意を伸ばすことの方が簡単)
(4)指導者としての勉強を惜しまないこと。
(経験だけに頼らない、ルールブック・DVD・NET・TV・本による勉強)
(5)選手の性格を知り、その性格にあわせた指導方法を考えること。
(必ず選手個人別に日記、記録をとり1年後、2年後、同じ選手を比較して練習の 効果を計る。指導している自分自身の効果測定、評価を行なうべし)
(6)チーム内指導者の目的、計画、言動の不一致をなくし、考え方や情緒に一貫性を持たせる。
(コーチ1人1人の意見が違っては選手は誰を信じていいかわからなくなる。
チーム に「和」ができにくい状態になってしまう)
(7)コーチ自身の選手時代のことは口にしない「俺が選手のころはなぁ」は禁句
(8)選手なくしてチームは成り立たないということを常に頭に入れておくこと。
(常に部員勧誘、途中からでも入部させる方法を考える)
(9)問題点は必ず紙に書け。書いてカテゴリーごとに整理し、
常に問題点を分かりやすく把握するクセをつけろ。
(練習を実行する前に)
毎回行う同じメニューでも必ず選手を集合させ、見せることができるものは「テレビで見せる」、できることはグラウンドで「やって見せる」すなわち映像を目からいれさせ、フォーメーション、テクニック、ルールなどは言葉で言って聞かせ紙にかいて説明し「脳で理解させ」てから実践練習を行なうと効果的。
毎回行う同じメニューでも必ず選手を集合させ、見せることができるものは「テレビで見せる」、できることはグラウンドで「やって見せる」すなわち映像を目からいれさせ、フォーメーション、テクニック、ルールなどは言葉で言って聞かせ紙にかいて説明し「脳で理解させ」てから実践練習を行なうと効果的。
その「結果」を教えることがとても重要だ。
これらを実行してから毎回練習するのとしないのでは飲み込み方、理解度がぜんぜん違うはずだ。
ただやらせるだけではコーチと言えない。
何故こうするのか、何故声を出すのか、何故元気を出すのか、その理由を教えなければならない。
ただ元気を出せ!声を出せ!と言葉で指導するだけでなく、理由を教えてやり選手自信が理解すれば自然に声を出すようになる。フォーメーションやルールも同じだ。
(勝利至上主義は罪か?)
勝負ごとゆえ完全否定はできない。
しかし勝つことの目的が指導者の私利私欲のためにあっては絶対にならない。
勝つための苦しみを、全員で目標に向かって努力したプロセス、勝った時の喜び、負けたときの悔しさを選手スタッフ全員で分かち合うことこそ、スポーツ共通の醍醐味だ。
勝つことによって、選手が成長しなければ全く意味がありません。強ければそれでいいのか?勝つためには何をやってもよいのか?は疑問だ。
一つの勝利のために、一人の選手が捨石にならない選手起用方法を常に心がける。
(コーチたるもの)
妥協しない辛さ、継続する辛さ、真剣に付き合う辛さ、
まじめな指導者であれば、必ずそれを味わうはず!
それを克服すれば、きっと素晴らしいチームが作れるでしょう。
(妥協しない辛さ・継続する辛さ)
ボールが急に遠くまで投げられるようになる、今までできなかったブロックができるようになった。
これらはすべて本人がやっと「走る」という動作ができるようになった証しなのです。
だから「走る」ということはスポーツ全ての基本である。
練習や合宿の最後に「走る」メニューを行い、疲れきった選手の顔を見てしまい、「本数を減らしてやるか」というような「親心、仏心」が顔を出す。
たった1回だけでも本数を減らしたら、それを期待する選手をコーチ自ら育てていると思え。
最初に100ヤードを10本走ることを命じたら、何が何でも10本やらせる強い意志を持て!。
コーチにはこれを1年365日貫き通す義務がある。
(真剣に付き合う辛さ)
グラウンドでは選手よりも数多く大きな声を出していただきたい。それは怒鳴るのではなく「褒める」「励ます」「指導する声」である。
選手よりも多く汗をながしてほしい。
コーチが一生懸命やっている姿を選手に見せることは、言葉なしに選手も頑張るはず。それはみんな人間だからである。
(かっこ悪い指導者、選手に迷惑な指導者)
(1)昔、自分がやった練習方法に固執する指導者はかっこわるい!
(よい練習方法は継続、意味のない練習はすぐ撤廃)
(2)試合で負けて腹を立てる指導者はかっこ悪い。
(だらだら反省会を長くやらずに、さあ練習!)
(3)何でもできます、やれます。と言い切る思い上がった指導者はかっこわるい!
(自分を成長させるのであれば、解らないこと、知らないことは敵に頭を下げて でも聞くくらいの謙虚さは必要だ)
(4)選手中心と言いながら、指導者のエゴで物事を進める指導者はかっこわるい!
(5)勉強しない、勉強できない指導者はかっこわるい!
(6)練習中、指導者みずから選手に笑いを誘い、雰囲気を壊し、選手を楽しく教え ているつもりになっている指導者はかっこわるい!
(練習開始から終了までは真剣勝負!)
最後に・・・・・指導者とは
練習に対し自分が妥協をしたとき、それは自らの手で妥協してしまう選手を育成しているものと心得よ!
妥協しない苦しみを味わってはじめて指導者としてのスタートなのだ。
指導者は、社会人として、一人の人間として
自分自身を日々生長させなければならない。
何故なら、指導者の成長なくしてチームの生長はありえないからである。
そして紳士であれ!
ki銀次郎
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