レッスン書を読まなくてもうまくなる法。
にわかに信じがたい話だが、生まれてこのかた一冊のレッスン書も読まず、それでいて世界の頂点まで登りつめた名ゴルファーを数えあげたら枚挙にいとまがない。
アラン・ロバートソンを筆頭に、近代ゴルフの礎となったハリー・バードン、ジェームズ・ブレード、ジョン・ヘンリー・テイラーなど、
歴史に残る名選手は例外なしにただの1ページたりともレッスン書を読んでいなかった。
夏坂健
“3年でシングルになった、この男のやり方”
162cm、58kgの小兵、杉原輝雄の凄さがここにある!
試合中に若手プロが滝のような汗をぬぐいながら、
「こう暑くちゃ、ゴルフにならねえや」
と愚痴をこぼしたことがある。
するとギロリと彼をにらみつけて、こういった。
『暑いのは、お前ひとりか!』
このあたりが杉原輝雄の真骨頂といえる。
自他ともに弱音は嫌い、やられたら、やり返すまで執念の炎を燃やし続けられる粘着力の凄さ。
パワーヒッターが目白押しの世界にあって162cm、58kg、握力40kgの小兵が押しつぶされないためには、人一倍気性を激しく保つことが要求される。
杉原の負けず嫌いは、周囲がたじろぐほど強烈である。
“練習と集中力、これがすべてである!”
『負けた試合は忘れろ、という人がいるが、ぼくは絶対に忘れん。そのことばかり考えている。だから次に頑張れるんだ。口惜しさを忘れるようになったら、競技社会ではもうオシマイなんだ』
寿命の長い自分のゴルフを分析して、杉原はこう語っている。
『練習と集中力、この二つを両輪にしていることが、長く続けれられる秘訣だと思う。練習は自分の仕事のうちだから、一生懸命やるのは当たり前』
“私は打つ前に失敗は考えない、イイ設計図をイメージせよ”
たいていのゴルファーは、打つ前に失敗したときのイメージを持つ。
「またボールを曲げてしまうのではないか、この前もこのくらいの短いパットを外したっけ」
脳裏を悪い設計図がよぎっていく。
これを
『セルフ・ダウト』
(自分を疑う)というが
何かをやろうとすると自己不信が頭をもたげる。
設計図が悪いために、できあがった建物も悪くなる。
すると自分で「ほら、やっぱり失敗した」と失望してしまう。
だからいつまでたっても進歩がない。
「私は打つ前に失敗を考えない。なぜなら、まだ失敗していないからだ。もしうまくいかなかったら、そのとき、その場所で考えればよろしい」
「そう割り切っているから、ボールに向かったとき、比較的早く集中できる。失敗を考えはじめたらキリがなくなって、とても気持ちを一本にまとめるのはむずかしい」
「だから私は、まだ起こってもいないことを考えずに、目の前のものに自分のリズム、自分のペースを持ってぶつかっていく」
「自分は自分でしかないから、無理しないで、自分のペースでベストをつくしていくだけ」
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