私はピタピタと寄せたいと思ったことはありません。
むしろ残りの距離や使うクラブがどうであれ
結果はいつもアバウトでよしと考えています。
(中部銀次郎)
“パーオン”
1番バーディ、2番ボギー・・・
そんな波乱に富んだ出だしより、おとなしくパー、パーでゲームに入りたい。
静かで変哲のない滑り出しこそ中部の愛する序盤戦なのである。
だが、
「贅沢言わせてもらえるなら、いきなりパーオンなんかしない方が望ましい気がします」
むしろほんの少しグリーンを外した方がいい。
で、グリーン周りから単純明快なランニングアプローチで寄せてワンパットのパー。
そんなホールアウトの仕方が1番ホールの理想形であるという。
なぜなら、
出だしからパーオンを続けて、いきなり5番あたりでグリーンを外したとします。
しかも30ヤードアプローチが残ったとしたら・・・・・
それまでフルショットしかしてなかった体に、
突然コントロールショットを要求しなければならなくなる。
フルショットならノープレッシャーで打てるが
コントロールショットはさまざまな思いが心を渦巻く。
ふり幅はどれくらいの大きさか?
ボールの落とし所はどこを狙うべきか?
グリーン上の転がりをどう計算するか?
心にどんどん負担がかかり体の動きがぎこちなくなりミスの予感に
嘖(さいな)まれます。
そんな事態にいきなり直面しないためには、
出だしから少しグリーンを外し、簡単なアプローチで寄せワンを重ねている方が、ゴルフが楽だと銀次郎は言う。
とわいえ幸か不幸か出だしからパーオンを重ね、
5番ホールで突然グリーンを外した場合は、
30ヤードのアプローチを前にして、どのようにピンチをしのげばいいのだろう?
「あっさりボギーを許容することです」
すでにパーオンを逃した時点で、心に傷を負っている。
なのに何が何でもパーで上がりたいと必死になるから、
さらに傷口は大きくなるのである。
突然の30ヤードは、そんな簡単なアプローチではない。
だがボギーでよしと考えればずい分と楽な戦いになる。
パーオンは全てのゴルファーの夢であり理想である。
だが現実主義の中部銀次郎は
ときにパーオンしないことをおのれの戦い方としていたのである。
中部銀次郎
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