棒はどこにでも落ちていた。道具を手にした人類と、
道具をついに使わなかった類人猿。棒を手にした者が勝ちを収めた。
しかし、それが手に余る巨木であれば、どちらにも、意味はなかったはずだ。
使いこなせる技術と、使われる道具の間に、一つの必然性があるのだ。
◆ドライバー編
第1章:誤解と偏見
~スウィングチェックはほどほどに、時にクラブを疑うのも一つの近道~
正しい使い方というのは、ある程度までは正しいスウィングと同じ意味だが、先にも触れたような理由で、決して決定版があるわけではない。
まさに十人十色で、フォームは全く違っていても、それぞれが正しいスウィングをしているともいえる。
それでは、正しいスウィングをしていながら、なぜ飛距離が伸びないのだろうか。
なぜスライスしてしまうのだろうか。
なぜボールが舞い上がり、あるいは地を這ってしまうのだろうか。
このような疑問が生まれたときに、ほとんどのアマチュアゴルファーは、やはり自分のスウィングがどこか間違っているのだろう、という結論をくだす。
そしてもう一度レッスン書を読み、一からやり直してみるのが普通だ。
また、自分のスウィングに自信を持っているゴルファーは、飛ばない理由、ボールが曲がる理由を、体力的ハンディ、あるいは非力のせいにしたりする。
彼等は決して、その理由を、道具であるクラブのせいにしたりはしない。
冗談で語ることはあっても本心はあくまでも、自分の技術が未熟であるゆえ、と結論づける。
この点では、アマチュアゴルファーたちは実に謙虚だ。
彼等がクラブを疑ったりしないのは、第一にメーカーに対して全面的な信頼感を持っているからだ。
特にそれが世界的なブランドであったりすると、盲信ともいえるほどの絶対的な信頼感を持ち、クラブを疑うことなどツユほども思いつかない。
宇宙航空学まで導入、その上、トッププロのアドバイスも入れて一流メーカーが開発し、何千回、何万回ものテストを繰り返して生み出された製品に、疑問の余地などあるものか、というわけだ。
第二に、ゴルフ仲間や周囲のシングルプレーヤー、あるいはクラブにうるさいことで知られる人たちのアドバイスを鵜呑みにしてしまうことだ。
もちろん彼らのアドバイスに耳を傾けることは大切だが、“チマタのクラブ通”のなかには偏った理論の持ち主も少なくないので要注意だ。
このような、クラブを選ぶに際しての一方的な信頼感が、必ずしもいい結果を生むとは限らない。
むしろ、誤ったケースも数多くあるものだ。
たとえば、どんな風に打ってもスライスしか出ないので、スウィングをいろいろ変えてみたがそれでも直らない。
そこで何気なくクラブのグリップを確かめてみたら、それがズレていた。
このような例は、ほかにも枚拳にいとまがない。
クラブを換えたことによってスコアがアップしたゴルファーの声もよく聞かれる。
一般にゴルファーは、自分の技術レベルよりちょっと上のクラブを使うと、それに追いつこうとしてウデを上げるが、クラブを換えるのはそれだけが効果的な方法ではない。
同じクラスのクラブでも、ちょっと違うものを使ったら大幅にスコアがアップしたというゴルファーも多い。
これまでのクラブが自分にマッチしていなかったわけだ。
クラブに“魔法の杖”のような万能性を求めるのは無理な注文である。
クラブには必ず、自分に合ったもの、合わないものがある。
自分に合っていないクラブを使っているうちは、スコアには限界がある。
そこで、遅々として上達しない原因をすべて技術のせいにして悩むより、この辺りでそろそろ、道具に疑問を持ってみるのも賢明な方法なのである。
これは決して楽天的な逃げ道ではない。
理にかなったことなのだ。
無条件に道具を信頼し切るあやまちと同時に、
ゴルフには“常識のウソ”が数多く存在する。
たとえば、小柄な人は短くて軽いクラブがいいという人がいる。
そかしこれはあまりにも短絡的な主張で、飛距離は伸びるはずがない。
このようなケースは、他にもいくらでもあげられる。
スコアアップのカギは意外にも身近にあることが多い。
灯台もと暗しではないが、ゴルフには、クラブをもう一度チェックし、常識を疑ってみる発想が好結果を生む可能性は多分に存在するのだ。
竹林隆光
(><)
ドライバー、フェアウェイウッド、アイアン、ウェッジ、パター、それぞれ本当に自分に合っている道具なのかどうかというのを見定めるのは限りなく不可能に近いような気がします。
竹林さんのこの文章を読んで気が付くところもあり決心しました。
次回のコースへ行くときは、今の一つ前に使っていたクラブ(アイアン)を使用してみようと思いました。
久しぶりに前のクラブを練習場へ持っていって練習してみようと思います。
竹林さん、ありがとうございます。
ki銀次郎
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