――コース設計の心得――
私は日本の美しい自然の中でのゴルフ場設計の仕事に誇りを持っている。
この一生涯の仕事が安易な妥協で無になってしまう。
「井上のコースはこの程度か・・・・・。」と言われる。
そう評価されない為にも自分自身で常に納得のゆく仕事を厳選してきた。
井上誠一
第4章 ゴルフコースの戦略要素
~悪結果を生む実力以上の逃げ~
この戦略要素を克服して攻める時に初めて好結果が得られるわけで、そのルートはその都度、次のショットをするために好条件を考えているわけだ。
このルートはあくまでもパーかバーディを狙って攻める理想のルートであって、プレーヤーの実力によっては、必ずしもこのルートを進みきれないことがある。
つまり、220ヤード辺にあるクロスバンカーは、220ヤード以上のキャリーを持ったプレーヤーでなければ第一打でのクロスバンカーという意味がなくなってくるわけだ。
180ヤード程度の飛距離のプレーヤーは最初から進む道も違ってくる。
必要なだけのキャリーを持ったプレーヤーがバンカーを避けた場合、というより逃げた場合の条件は決してよいものではない。
逃げたところが低地になっていてグリーンが見えなかったり、スロープになっていたり、グリーンに対しての攻める条件が厳しいものになってくる。
第二、第三のハザード的役割を持った要素が待ち構えているのである。(図)
また、逃げでなく、第一のルートを攻めてのミスに対しても同じようなことがいえるわけだ。
この場合、ミエナイ自然ハザードがその場で待ち受けているだけに、最良の結果は、そのミスによってすでに阻まれたことになるわけだ。
常に優位な状態で、攻めきるためにはポイントを外さないことが重要で、これを外したらますます難しい条件の下でプレーをしなければならないということになる。
これは当然なことで、危険物を避け、又ルートも決めずにただ打ち進むというプレーヤーに対しても次のショットでの条件をよくしているというのではそのコース自体の戦略性は全く感じられないわけで、設計者はホール全体のハザードの配置、程度に十分に配慮する。
それはマウンドであったり、ビーハイブだったり、ハローだったりさまざまな型で現れる。
(Beehive=英語で養蜂箱、ハチの巣が転じてにぎやかな場所)
つまり。そこからのショットにおいてはボール、スタンスなどのライが悪く、また、グリーンの花道は開いておらず、最高の結果はラッキー以外に考えられないわけだ。
井上誠一
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