2016年9月2日金曜日

中部銀次郎のゴルフ(体之巻)

自分なりに精神的な制約を取り除く方法を考え出す。
それが練習の真の目的であり、上達するひとつの方法だと思います。


練習場ではそういう訓練をする。
訓練していけば必ずその方法は見つかります。
ムダ球を打たない効果的な練習方法とは・・・・・
中部流の奥義、ここに完結。



~孤独~


中部銀次郎は仲間とつるんでわいわいラウンドしたり、技術の研鑚しあったりということをほとんどしなかった。


「仲間と楽しくやって上手くなるスポーツじゃないでしょう」
というのが理由のひとつ。


だが仲間が出来る前に中部がすでに日本一になってしまったのが根本原因かもしれない。


1962年(昭和37年)甲南大学(神戸市)2年生の時、廣野GC(兵庫県)で行われた日本アマチュア選手権に初優勝してしまった中部には、仲間ができる暇もなかったのかもしれない。


したがってそこから後の中部には友もいなければ敵もいない。ひたすらコースと戦う日々が続いたのである。




負けたとき「敗因は全て自分にあった」と常に述懐したのも、自分以外に求めるものがなかった中部のゴルフ観が言わしめているのである。


一般のアマチュアがそこまでの孤独を常としてゴルフをすることはほとんどない。ただ「たとえば月例競技に出ているゴルファーがBクラスからAクラスに上がることに躊躇いを感じる例などを見かける時、彼の中に孤独への恐怖感を見るような気がします」


自分の安住している世界から、ひとつ上に出ていくことは、新しい集団には友人も仲間もいないばかりか、今まではお山の大将でいられた自分が、最低辺からコツコツ這い上がっていかねばならないのである。

「それが辛いとか苦しいとか思っている暇は本当はないんです」
もしも心から上達をめざしているのなら、むしろ新しい集団に揉まれ、自分以上の技量を目の当たりにすることが楽しみであり、励みになるはずである。


己れを孤独の世界に置いてこそゴルファーは、本当の友達を見つけられるのかもしれない。ゴルフという名の友達を―!

中部銀次郎

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