棒はどこにでも落ちていた。道具を手にした人類と、
道具をついに使わなかった類人猿。棒を手にした者が勝ちを収めた。
しかし、それが手に余る巨木であれば、どちらにも、意味はなかったはずだ。
使いこなせる技術と、使われる道具の間に、一つの必然性があるのだ。
第2章:ヘッドデザインで性能を判断するのは早計だ
◆3Iよりも5Wの方が弾道が高いのは重心深度のせい
中空アイアンというのがある。文字通り、ヘッド内部が風洞になったやつだ。この特徴としては、グースネックと同じ効果があることと、重心深度が深いためギア効果が大きくなることの2つがあげられる。
単純に重心の位置だけを基準に考えると低くなると考えがちだが、実際にはむしろ逆といってもいいだろう。
アイアンの場合、スウィートスポットより下で打つのがナイスショットと書いた。下で打つと、ボールが当たった瞬間、その衝撃でヘッドはフェースが下向きになるような方向にねじれる。そのため、ボールが低くなるのである。
インパクトでねじれる力というのは、フェース面から重心まで距離が短いほど大きくなる。それにつれてボールも低くなるわけだ。
一方、重心がうしろに下がっているクラブ、つまりフェースと重心との距離が長いものは、スウィートスポットをはずして打っても、フェースがねじられる量が少なくなるので、打ち出し角度はやや高くなる。
重心がフェースに近いところにあるクラブは、ロフトが死んでしまい、フェースがかぶるのと同じ結果になるわけだ。逆に中空アイアンは、重心が遠くにあるために、ボールが上がるのである。
より分かりやすい例をあげてみよう。
たとえば3番アイアンの標準的ロフトは23度だが、これはクリークとほとんど同じである。ところがボールの弾道としてはクリークのほうがはるかに高くなることは誰でも知っている。
これは、重心の差によるものである。重心深度を比較すると、クリークの方がずっと深いのは明らかだ。従ってクリークのほうがインパクトでねじられる量が少ないために、それが多い3番アイアンよりもボールは高くなるということである。
竹林隆光
0 件のコメント:
コメントを投稿