――コース設計の心得――
私は日本の美しい自然の中でのゴルフ場設計の仕事に誇りを持っている。
この一生涯の仕事が安易な妥協で無になってしまう。
「井上のコースはこの程度か・・・・・。」と言われる。
そう評価されない為にも自分自身で常に納得のゆく仕事を厳選してきた。
井上誠一
第二章
“パー3ホールの逃げ道”
パー3ホールには複数のルート設定が必要ないと先に述べたが、
これはあくまで、1オンが必要条件の上にたってのことである。
ピンを狙う攻めでは、逃げていたのでは目的が達せられないわけで、そのためには逃げ道は必要ないわけだ。
しかし、グリーンの形とピンの位置によっては距離が短いからといっても必ずしもピンを狙って攻めきれない場合がある。
グリーンが左から右奥に斜めに長く、右にバンカーがあり、
ピンが右奥に立てられていたのでは直接ピンを攻めるには難しく、左目に乗せることだけとなる。
これが一種の逃げであり、
パー3ホールでの逃げ道はグリーン上にあるわけだ。
また、距離の長いホールでは、花道が広く、エプロンを多少持たせるため、これが逃げ道にも通じる。
いずれにしてもパー3ではこれが逃げ道であるといったあらたまったものはないのである。
ただ、日本においては、プレーの進行ということをも考え合わせたら、距離の長いものになってくれば、エプロンに続けて多少、
フェアウェイを造ることもある。
前章で多少ふれたことだがパー3の向きにはいろいろな注意がはらわれる。
風に対してはそれぞれ同じでないことが望ましいわけだが、
絶対に避けなければならないことは、太陽に対してまぶしくならないようにすることである。
特に西日に対して向かうようなことがあってはいけない。
1オンを狙ってグリーンを攻める時に太陽が目に入るようでは、まぶしくて狙いがつけにくいからである。
井上誠一
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