2014年12月19日金曜日

中部銀次郎「ゴルフの極意」著・杉山通敬

「コートを着たまま練習することでスウィング軸を安定させる窮屈感を知る」
「難コースも18人の美女に見立てて口説くように攻略すれば上手くいく」
「大叩きは技術ではなく心の問題」

中部銀次郎




~ルールの大前提は正直にプレーすること~

『もうひとつ、重要な合意事項がある』
と中部はいう。



それはルールブックのどこにも記載されていないが、これがなければすべてのルールの条項は空文化してしまうにちがいない。
最も重要なことは実は明文化されていないのである。



それは何か。
正解できる人はそれだけで、立派なゴルファーといってよいであろう。



『それは正直にプレーすること』



善意の観察者は、いわばプレーの立会人なんですが、一般のアマチュアの場合は、技術水準が一定していない者同士が回ることが多い。



ひとりが左の林、もうひとりは右の崖下、さらにバンカーにいれたり、ラフだったりで、4人とも別々の方向に乱れ打ちする。
その程度の技術水準の人は、全員自分のプレーに夢中になっちゃう。



人のことなどかまっていられないわけですよ。
ですから、誰も見ていないところでボールを打つことになる。



そういう時に、予期せぬ出来事が起こって、ルールのやっかいになるような場合、何をもってその処置の基準にするかです。



それこそ“立会人”はどこかへ行って誰もいないんですから、自分の判断が正しく、処置が間違っていなかったとしても、
あるいは判断も処置も正しかったかどうか疑わしかったとしても、自分のやったことを正直に同伴競技者に申告しあう。



正しければいい、間違っていたらそれ相当の処置をする。
ルールは法律みたいに悪人を罰するためにあるのではない。
プレーヤーを救済するためにあるんです。



『救済を受けるには正直であることが大前提になる』



たとえばアンプレヤブルがある。
木の根元にへばりついたり、深い藪の中に入り込んだりして、どうにも打てないような時に、プレーが続けられるように救済してくれるのがアンプレヤブルなのだ。



そのために1打付加する。
そのままの状態では、プレー続行が不可能であったり、無理して打てば何回打つか分からなかったりするのに、1打付加することによって救済されるのだ。
「ルールの温情」といってよい。



ところが、だれも見ていないことを、これ幸いとばかり、打ちやすい所に勝手に出してそのままプレーする。



『明らかに違反行為だが、一事が万事でこの種の行為が横行したらルールなどいらない』



すべてのルールは、すべてのゴルファーが“正直”であるということを前提のもとに取り決められている。



『この前提条件がなくなったらゴルフはオシマイです』



仏教では「いちにんを慎む」ということをいうそうだ。



人間、いちにん(すなわち一人)の時に勝手気ままなことをやりだすから、よくよく身ぎれいに振る舞っても、いちにんになった時に突如として、“悪魔のささやき”が聞こえてくる。



「だれも見ていないのだから、打ちやすい所へ出して、知らんぷりして打っちまったらどうだね」
「おや空振りしたな、誰も見ちゃいないぞ、だから数えるのはやめておきな」
「ボールのマークをカップに近づけて置いたな、なに誰も気づかないさ」



そのささやきに耳を貸したら
「ゴルフはオシマイです」
中部銀次郎


(><)
ゴルフプレーでは、その人間の性質や性格が、最悪の状態で顔を出してしまう。



例えば、ドロップをする時に腕を肩の高さに上げず、ほんの少し下げてしまう。
下げた腕は肘が曲がっていてしっかり伸ばされていない。



さらに、こんな人もいる。
ドロップとは、ボールを引力にまかせて落とすだけの行為なのに、指と手首をつかってほんの少し放り投げる人もいる。



救済を受ける、堂々とした仕草とはほど遠いものだ。
そこに表現されるのは“欲と未練がましさ”だけなのだ。



下を見ても平らな所などどこにもないのに“少しでも平らなライに落としたい”という小さな欲を体が自然に表現してしまう。



どこへ落ちても同じようなライなのに、こういう行動に出てしまうのは普段の生活からそのような小さな欲を、自分の利益として求めているからだろうと思う。




同伴者が見ている前でこのような行動が顔を出している人ならば、同伴者の見ていない場所ならば、何をしているか想像がつく。
「ゴルフはオシマイ」です。



“正直に”“あるがままに打つ”
これを守る者同士が18ホールプレーすることで、更にお互いの友情と信頼が深まる。
一緒にゴルフをする回数が増えれば増えるだけ友情と信頼は深まるだろう。
ゴルフは、誘うより誘われるゴルファーになろう。
ki銀次郎

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