棒はどこにでも落ちていた。道具を手にした人類と、
道具をついに使わなかった類人猿。棒を手にした者が勝ちを収めた。
しかし、それが手に余る巨木であれば、どちらにも、意味はなかったはずだ。
使いこなせる技術と、使われる道具の間に、一つの必然性があるのだ。
第3章:硬度の偏見
◆シャフト硬度はヘッド重量によって決まるもの
シャフトの硬度といったときにアマチュアが陥りやすい間違いは、単にシャフトだけの硬さだけを考えることである。
確かにシャフトだけ比較すれば、XよりもSのほうが柔らかいし、さらにSよりはRのほうが柔らかい。
しかし、シャフト硬度は実際にはヘッド重量とのかね合いで考えなければならない。
ヘッドをつけた状態では、RのほうがSよりも硬く感じる場合もあり得るのだ。
さらにそこにはスウィングバランスも大きな影響をもってくる。
私が今使っているクラブは、ドライバーがカーボンシャフトでXの軟らかめ、スプーンはRの硬め、そしてバッフィがAシャフトだ。
ところが、これだけバラバラでも振った感じは、あまり変わらない。
その理由は、シャフトのたわみ量を揃えているからだ。
バランスはそれぞれ、D5、C7、C2にしてある。
これでシャフトの硬さを当てられる人はまず、いない。
この例からも、単純にシャフトだけ取り上げて、硬すぎるとか軟らかすぎるとは言い切れないことがわかると思う。
かつて、陳清波プロのクラブをつくったときに、硬いシャフトがいいというので、X1くらいに極端に硬くした。
バランスはドライバーでD3かD4。
ところが彼は実際にはE4ぐらいのバランスにして使っていた。
シャフトが硬すぎて振れず、たわみを出すためにヘッドを重くしていたのである。
反対にシャフトをSかRにして、ヘッドをもっと軽くすれば、同じフィーリングで、より軽く振れるともいえるわけだ。
ただしフィーリングは同じでも、クラブ全体の重量の違いが、弾道の違いとなってあらわれる。
軽いほうがボールはよく上がるし、重ければ低い弾道で飛ぶのである。
竹林隆光
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