私はピタピタと寄せたいと思ったことはありません。
むしろ残りの距離や使うクラブがどうであれ
結果はいつもアバウトでよしと考えています。
(中部銀次郎)
“ピンを狙う?狙わない?”
中部銀次郎はいくつかの名言を残している。
「たとえピンがどこに立っていてもグリーンセンターが一番近い」
すなわちあえて端に立ったピンは狙わずとも、グリーンセンターに乗せておけば、意外にパットは短いというのである。
センターを狙っていけば微妙にショットがずれてピンそばに行くラッキーもある。
しかも寄せにくい方へ外す危険性はほぼ免れる。
だからいつでもピンは狙わずグリーンセンター狙い。
それが中部流なのである。
だが!・・・・・だが必ずしもそうとばかりいえない銀次郎の顔があった。
たとえば中部がラウンドに来ると聞けば、グリーンキーパーは張り切って“挑戦状”を叩きつけてくる。
あえて難しいピンポジションを設定する。
そんなとき中部はボールの後方に立ち自分のショットする姿をイメージし、まず1本グリーンセンターに向って矢を放つ。
安全で確実な結果が見て取れる。
だがもう1本ピンに向かって矢を放ってみる。
これがくっきり鮮明に浮かぶ時、中部は当然のように端のピンも狙っていたのである。
おのれの技量をさらに高めるためにもまたグリーンキーパーの気合に応えるためにも、
さらに、時にはもう1本矢を放つこともある。
グリーンセンターの矢がもうひとつしっくりせず、
かといってピンへの矢はさらに危険な匂いがする時、
ピンと反対サイドヘ放った矢に従い、セカンドショットで勝負をかけることを避け、
寄せとパットに勝負を預けることもあったのである。
基本はグリーンセンター狙い。
だが3本の矢を吟味し、時にはピンを狙い、
また時にはあえて迂回ルートを取ることも辞さない。
中部がグリーンを狙う時、その頭の中はさらに深くしたたかだったのである。
中部銀次郎
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