「技術を磨くことより心の内奥に深く問い続けることが大切」
「自分の力を、甘くなく辛くなく正確に把握する。そこからすべては始まる」
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以下の文章は、中部銀次郎「ゴルフの神髄」からの引用である。
5年前に印をつけて熟読したはずなのだが、
練習を重ねるごとに頭の中から薄れていって全く忘れていた。
慢心からくる油断であり、自分のショットに対して、
驕り高ぶりがあったのだと大反省しました。
レッスン本では決してお目にかかれない貴重な内容だと思います。
ki銀次郎
“自分自身を知れ”
ハンディ9氏は、こう考える。
155ヤードは、7番アイアンでぎりぎり越せるかどうか。
確実に越すには6番だろうが、ピン奥に乗ったらパッティングが難しくなりそうだ。
さて、どうするか・・・・・?
やはり、7番でフルショットしよう。
飛ばし屋のハンディ12氏
ためらったすえに8番にする。
目論見通り8番で届けばピン近くに寄るだろうし、
一方7番でグリーンオーバーしたら、林の中でトラブルに見舞われかねないという判断だ。
いくぶん非力のハンディ16氏
5番か4番か迷うが、確信のないまま4番に決める。
迷ったときには大きめのクラブを選ぶことにしているからである。
最後のハンディ19氏
ハンディ9氏が7番を手にしたのを横目で見て、
6番と5番を引き抜くが、ボールに向かう瞬間に5番を捨てて6番にする・・・
これはあくまで仮定である。
が、おおよそこんな仮定でクラブ選択はなされるであろう。
結果はいずれにしても、全員が自分のショット力を正しく認識していない・・・・・と、少なくとも私は思う。
ハンディ9氏は
ふだん7番アイアンのショットで、何ヤードを打っているのか?
クラブフェイスの真芯で打てた場合は、160ヤードも飛ぶかもしれない。
が、それは何発に一発なのか?
ちょっと芯を外れたときには、何ヤードの距離の誤差が出るのであろう?
ハンディキャップが9だとすると、
7番アイアンのショットでは、確実に半分以上は芯に当たらない。
目論見通りの距離が打てるのは、十のうちの一か二であろう。
アベレージゴルファーの目から見ると、
いわゆるシングルプレーヤーならもっと正確なショットをすると思うであろうが、
実情はこの程度でしかない。
スクラッチプレーヤー
つまりハンディ0でも、7番アイアンで芯で打てるのは十のうち三か四、狙ったグリーンに乗せられるのは、半分くらいのものだ。
信じがたいであろうが、事実である。
考えても欲しい、プロツアーでのパーオン率のトップがアマチュアと比較にならない長いコースでのプレーではあるが、7割前後なのである。
そういう次第で、
ハンディ9氏が155ヤードを越えるショットで
7番を持つのは、間違いだと思う。
ちょっと噛めば、手前のバンカーに落ちるのはいいとしても、
キャリーで入れば目玉になるケースも多い。
3であがれるはずか、4はおろか5になる可能性も大なのだ。
正解が、グリーン奥でもいいから、確実に乗せることであることは、いうまでもない。
ハンディ12氏の場合
前のシングル氏よりもショットの誤差ははるかに大きいはずである。
飛ばし屋なのにハンディ10が切れないのは、それだけショットが乱れる証拠でもある。
何よりも、このゴルファーは、8番と7番で自分の飛距離が何ヤードから何ヤードまでのばらつきがあるのかを知らない。
大方のゴルファーと同じく、8番は7番より飛ばないと思いこんでいる。
自分の過去のショットを冷静に分析してみれば、
実際に8番と7番とでほとんど距離が違わなかったり、
ある場合には8番の方が飛んでいることに気づくはずなのだ。
これは当然と言えば当然で、短いクラブほど正確に打てる率は高く、8番と7番のシャフトの長さは通常わずか半インチの差だか、これでショットの確立は格段に違ってくるのである。
長いクラブの方が距離が出ると思われているが、
これは正確に芯で打てた場合にすぎない。
ハンディ12氏
のケースではキャリーで155ヤードを8番アイアンで打とうとすれば、意識のどこかで「これで届くだろうか?」と疑っているから、必ず力が入ってプルする。
クラブフェースに強く当たれば当たるほど、ボールは引っかかって距離が出てしまう。
そうでなければ、フェイスの先端に当たって、右にふけるボールしか出ないものである。
7番で楽に打つのが確率的には最もいい結果が出るはずだと思う。
これに対してハンディ15氏は、
自分の力をいたずらに過小評価し過ぎている。
非力でボールは飛ばないにもかかわらず、ボギーペースを上まわるプレーができる人なら、ほどほどボールを曲げずに打てる技術はあるのだろう。
この種の人は、自分は飛ばないと思い込んで、実際の飛距離よりも大きいクラブを手にすることが多い。
実際には、5番アイアンでも155ヤードを打てるのだ。
もちろん大きいクラブを持てば強振することはないから、ミスを犯す確率は低い。
だからこそボールは飛ばないながらもハンディ15なのだろうが、
いつも打ちたい距離より大きめのクラブばかりを使っていたのでは、いつまでもハンディは縮まらないであろう。
消極的に4番を持たず、5番でしっかり打つべきなのである。
前のふたりが小さいクラブを選択するのが間違いなら、
大きいクラブに頼るのもまた正しくないといえよう。
最後の人は、
何よりクラブの選択に確信がないままボールに向かうのがいけない。
他人が何番のクラブを手にしたかを参考にするのは、まったく考え違いである。
だいたい、人がどういうつもりでそのクラブを選んだのか不明ではないか。
フルショットするつもりかもしれない。
力を抜いて軽く打つつもりかもしれない。
アマチュアのゴルフでそんなことは不要だと私は思うが、人によっては少しフェイスを開いて高いボールを打とうとして、大きいクラブを手にしていることもあるだろうし、逆にシャットフェイスで低い球を打つ気でいないとも限らない。
結局、他人の選んだクラブは参考にできないのだ。
自分自身を知れ!
これが、ゴルフに上達する基本である。
そして何より、自分のショットの正確度を認識し、飛距離を知ることが欠かせない。
繰り返すが、この場合の飛距離とは、打ったボールが止まったところまでの距離だけではない。
自分の打つボールはキャリーで何ヤード飛び、何ヤードくらい転がるのかを知らなくては、ゲームの設計など立つわけはないではないか。
そういう意味で ― 率直にいえば ― 多くのゴルファーは、
ゲーム設計もないままゴルフをしているのである。
そして大事なのは、自分のショット力を正確に把握し、
ゲームの進め方を考えてプレーするだけで、
ゴルフは目覚ましいばかりに変わってくるということだ。
中部銀次郎
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