――コース設計の心得――
私は日本の美しい自然の中でのゴルフ場設計の仕事に誇りを持っている。
この一生涯の仕事が安易な妥協で無になってしまう。
「井上のコースはこの程度か・・・・・。」と言われる。
そう評価されない為にも自分自身で常に納得のゆく仕事を厳選してきた。
井上誠一
(Shoice 付録)
第一章
“1番はいく分易しく”
1番ホールは、それほど難しくないパー4ホールを持っていく。
OB等トラブル要素を極力回避したウォーミングでよい。
これは、人間だれしも最初から難しいホールに挑み、スコアを乱して気分を悪くするよりも、出だしでOBなどトラブル要素が少ないほど気分がよく、その日のゴルフが楽しい方向へと進むからである。
この1番の易しさということは、特に距離を短くするというものではなく、他のホールに比べて、フェアウェイを広めにするとか、グリーン周りを厳しいものにしないという手法をとる。
パーに対してよいスコア、つまり、それぞれのプレーヤーの腕前によってであるが、バーディやパーが出やすいホールにはパー5の距離の短めのもの、470~480ヤードぐらいのものである。
これを1番に持ってくる方法もあるわけで、そうすると多くのプレーヤーが出だしから最高のご機嫌になることができる。
しかし、コース全体のパーバランスを考えるとパー5の配置が限られてしまう。
また、スタートがスムースにいっても途中で二組、三組とつかえるような組み合わせは設計上、避けなければならない。
そのため、1番を易しすぎるホールにすることも考え物である。
易しいホールの後は少し難しいもの、そして中間のものと、流れを考えなければならない。
難易度はその都度変化を持たせ、第一打の難しいもの、第二打の難しいもの、グリーン周りの難しいものという方法をとるが、このことについては別に詳しく述べることにする。
流れだけを考えるならば、18ホールを同じように造ることであるが、これは変化に乏しく、プレーヤーの満足を得ることができない。
18ホールのコース組み合わせには、それぞれのホールにリズムとともに、異なったバリエーションを持たせなければ味わいがでない。
井上誠一
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