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練習は自分なりに一生懸命やっているが、ここのところスコアが停滞している方や、ゴルフにマンネリを感じている方には刺激を与えてくれることが凝縮されている文章です。
もちろん上達の前提は練習なのですが、考え方はもっと重要ではないでしょうか?
ki銀次郎
“心の有り様をおろそかにしていないか”
スコアは心の振幅をどれだけコントロールできるかにかかっている。
ゴルフのスウィングは自転車と同じ。
ひとたび身についたら、忘れることがない。
トラック1台分のボールを打たないとうまくならないという人もいるけれど、その必要は少しもないんです。
要するに考え方、心の有り様。
これによって、ボールを打たなくともスコアはいくらでも縮まっていく。
何度もいうようですが、そうぼくは感じています。
たとえば18ホールのうち、14回ドライバーを使うとして、
そのうちの4回は狙ったところにボールを運べると。
そういう人がいたとして、その人が確率を倍にして8回狙ったところに運びたいと願ったとしましょうか。
するとその人はどのくらいの練習をしなければいけないのかというと、単純にこれまでの練習量を倍にすればいいということではない。
そういう問題じゃないんです。
確率を倍に高めるためには、おそらく倍以上の練習を必要とするだろうし、それより何よりも、実際にコースに出たときの心の動きをコントロールできるかどうか。
ここが一番の問題となるところなんです。
コースに出ると、目から入ってくるもの、耳から入ってくるもの、そして肌で感じるもの――こういうものによって心はどのようにでも揺れ動く。
不安感を生じたり、恐怖心を持ったり、あるいは気持ちが高ぶったかと思うと消沈するといった、このような様々な気持ちの揺れ動きの中でボールを打たなければならないわけですから、練習場でボールを打つようなわけにはいかない。
つまり状況に変化が生じるんです。
その中で、4回の確率を倍の8回に高めることは練習量の多さでは解決のつかない問題を含んでいるはずです。
だからトラック1台分のボールを打ったところで必ずうまくなるという保証はどこにもない、ということなんですが、なかなかこのへんのことを理解してくれるゴルファーって少ない。
とにかくボールを数多く打ちさえすればうまくなるものと思っている。
もちろん、そうやってうまくなった人がいないわけではありませんよ。
しかし、ある程度のところまでいったら心の有り様、考え方、そこに行き着いてしまうんです。
フェースインサートの横幅。
これがどのぐらいあるのか分かりませんが、それほど広いものではない。
その広くない面積の中でボールをとらえることは非常に難しい。
センチミリミリの世界。
アドレスでほんの少し前傾姿勢が深かったとか、ボールの位置がズレてしまった、あるいはグリップと体の間隔がちょっと広かった、狭かったと、ほんのわずかな狂いだけでボールはもうフェースインサートから外れたところに当たってしまう。
それほど微妙な世界を、練習によって克服するのは至難の業だと思うんです。
ましてアマチュアは一般に感性が優れているとはいえないわけでしょ。要するに何もない。
だったらトラック1台分のボールを打つなんていう無駄な努力をするよりは、いかに心の振幅をコントロールするか。
また、確率の高いゴルフをするためには、どうすればいいのかという方面での努力なり鍛錬をすべきなんです。
これがナイスショットを出す、また、スコアを縮める一番いい方法。
心の揺れ動きをコントロールすることが、いかに大切かという例を出してみましょう。
よく経験するところだろうと思うんですが、3ホール続けてパーがとれたと。
しかし連続4ホールの経験はない。
で、4ホール目。
このときにゴルファーの多くは不安を感じると思うんです。
ここでパーがとれれば初めての4ホール連続だけれども果たしてとれるかな、どうかな。
するとたいていはボギーを出してしまうか、信じられないような大叩きをしてしまう。
こういう経験って、どうですか、あるでしょ。
で、残念だなっていう気持ちの一方でホッとするような気持ちもあって、一種複雑な心模様に占められる。
この場合、3ホールも連続してパーをとってもきたということは、決してゴルフが下手な人ではない。
4ホールでも5ホールでもそのまま続けてパーがとれる腕前なり技術を持っているはずなんですね。
それなのに突然崩れるということは、技術上の問題以外の心の問題、これに尽きるんです。
要するに短距離ランナーは100メートルは速いけれども、1000メートルの競争になったら「どうかな」って不安を感じるのと同じ。
自分の未経験の分野に対する恐れが不安感となって表れるわけでしょ。
これが1万メートルの競争になったら、もっと心配。だから4ホール連続パーという未経験の分野に入り込むには不安感がつきまとうし、その不安によって思い切ったショットができなくなり、結果、パーがとれないと、こういうことなんです。
もうひとつ例に出すと、ハーフ30台のスコアを出したことがないと。
40は何度か出しているんだけれども、あと一歩のところでどうしても30台が出ない。
こういう人って、たくさんいるでしょ。
で、何故なんだろうって練習に励んでみても、やはり30台は出ない。
これも技術上の問題ではなくて考え方の問題。
考え方を改めるだけで十分に出せるようになる。
どのように改めるかというと、たとえば最後のホールをボギーの5で収めれば、39が出るとすると、ティショットでドライバーを使わない。
ただこれだけでいいんです。
ドライバーという道具は、長さも長いし、ロフトも少ない関係で、ボールに当てづらいし曲がりやすい。
というとことは、最後のティショットを曲げてしまう可能性があるわけです。
というより、30台のスコアがかかってますから、心理上制約を受けている状態。
その中でのショットならミスをする確率のほうが高い。
ボールを曲げてしまってOBに打ち込んだり、池に放り込んでしまえば、もうそのホールでのボギーはなくなっちゃいますね。
で、30台を出せない人というのは、いつもこのようなことの繰り返しでゴルフをやってるんじゃないかなって思うんです。
ドライバーで打てばパー4のホールで6も叩けば7も叩く。
ならばアイアンでティショットして3オン2パット。
これで十分に30台を出すことができる。
つまり考え方。
これだけなんです。
アイアンで打つのは男じゃないとか、恥ずかしいとか、そんなみてくればかりを気にしたって、何にもならないでしょ。
30台を出したいのなら、出すための考え方というものがあるんですね。
ティインググラウンドに上がると、キャディさんがサッとドライバーを手渡してくれる。
このように、ティショットではドライバーを使うものだという固定観念にとらわれたキャディにも問題はあるけれども、それより手渡されたドライバーを何の考えもなしに受け取って使うというものは、もっと良くない。
ゴルファーは観念的にゴルフをやっちゃいけないんです。
これは技術以前のこと。
いくつか例を挙げてみましたが、ゴルフは技術よりも心の有り様や考え方によってミスショットも出ればナイスショットもでるし、また悪いスコアも出ればいいスコアも出る。
ゴルフスウィングは一度覚えれば自転車と同じ。
右に曲がり左に曲がるも乗り手の問題です。
中部銀次郎
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