2018年2月13日火曜日

“上手い人”より“強い人”。自分を信じることが“強い人”になる秘訣

日本ゴルフ界のレジェンド・倉本昌弘は「テクニック面だけ磨いても“強い人”にはなれないことも多いです」と話す。著書「本番に強くなるゴルフ」から、“強い人”になる秘訣をご紹介。
テクニカル面ばかり求めると強くなれない
プレーヤーの中には、「上手い」と言われる人と「強い」と言われる人がいます。私が見る上手いゴルファーというのは、スウィングが理にかなっていて多彩なテクニックを持っている人。そして、考え方もしっかりしている人です。ただ、その中には上手いとは言われても、強いと言われない人も多いようです。

上手いのに強いと言われない。それはどこに問題があるのかと言ったら、やはり心にあります。野球で言うブルペンエースです。ブルペンや練習では驚くほどいい球を投げるのに、試合でバッターに対すると全然結果が出ない。ゴルファーで言えば、練習場や練習ラウンドではものすごくいい球を打つのに、コースに出たり試合に出たりすると曲がる。それはもう心の問題でしかありません。

要は、心が恐怖や不安を感じている。整理ができていない。その状態のままプレーしているから、パフォーマンスが上がらないわけです。これはプロもアマチュアも同じです。傾向としては、テクニカルな面ばかりを追及する人は、上手くなっても強くなれない危険があります。技術は確かに大事です。特に、アマチュアの場合は、技術を磨くことでスコアに直結する場合も多い。でも、それにこだわりすぎて自分を疑ってばかりいると、やはり強くなれません。

まず知っておきたいのは、強い人は自分を信じているということです。強い意志というか、ブレない心を持っています。だから、強い人はというのは、得てして個性的なスウィングをしていることが多いのです。尾崎(将司)さん、青木(功)さん、杉原(輝雄・故人)さん、みんな個性的です。自分を信じているから、個性的なスウィングだからといって、それを無理に直そうとしたり、迷ったりしないわけです。また、ああいう強い人たちが、いわゆるオンプレーンの(スウィングプレーンに沿ってクラブが降りてくる)スウィングをしているかというとそんなことはありません。

だから、強いゴルファーになるためには自分を信じる。まずはそこから始める必要があります。ただ、自分を信じろと言われても、信じられない人も多いでしょう。ですから、練習の段階からワンショットワンショット、現在の自分を見つめるクセをつけ、いろいろな感情に負けている自分から目を逸らさないことから始めてください。

具体的に言うと、常にスウィングを完結させる。フィニッシュを完結させるのです。ほとんどのアマチュアは、練習のときからスウィングが完結していない。練習場を見渡しても、1球1球しっかりとフィニッシュを取っている人なんて、まずいません。

では、なぜスウィングが完結できないかというと、ボールに上手く当てたい、真っすぐ飛ばしたい、遠くに飛ばしたいという様々な感情に負けているからなのです。その証拠に、誰でも素振りのときはしっかりフィニッシュが取れるはず。それはボールがないために、ボールが飛ばない、曲がるという不安や恐怖が生まれないからなのです。

言い換えると、フィニッシュの取れない人は、「上手く当たらないんじゃないか」、「曲がるんじゃないか」と、自分を疑っている。自分を信じていないのです。そして、それが強いゴルファーになれない最大の原因だということに気づいてください。

練習のときから感情に左右されて自分を疑い、やるべきこと、やりたいことができないでいたら、本番でいいプレーなんてできるわけがありません。だから、どんなときもスウィングを完結させる。その結果、曲がった、曲がらないは問題ではありません。「目標を狙ってこの球を打つ」と決めたら、自分を信じてそのためのスウィングをやりきるのです。どんなに不安や恐怖があっても最後まで振り切って、意識が先(目標や結果)に飛んでいかないようにする。それが、いろいろな感情に負けない心を作り、自分を信じる力をつける訓練になるのです。

本番になれば、嫌でも不安や恐怖といった感情がきます。だからルーティンをしっかりやって、できるだけそういう感情が出て来ないようにする。でも、その感情を完全に押さえ込むことはできないので、普段の練習から「感情が出てきても、思ったことをやりきる」という訓練をして、「感情が出てきたけど、やるべきことをやりきった」という経験を積んでおく必要があるのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

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