2016年4月11日月曜日

◆いまウサギかカメかゴルフライフの転機




~ゴルフマナー研究家 鈴木康之~


「フェスティナレンテ=ゆっくり急げ」は古代ローマの格言とか。
ゴルフスウィングにも通じる教えだが、今日の私たちアマチュアへの警鐘の響きも聞こえてこないだろうか。


のろまにはfestina「急げ」と鞭をいれ、せっかちにはlente「ゆっくり」と制する。重宝な二面性を持っているが、日本の識者の解釈では室町時代の歌からうまれた格言「急がば回れ」と訳される。近代人、現代人の先を急ぎたがる性癖を前提においての解釈だ。


意訳してみよう。Festinaは勤勉、忠実(まめ)であれ、意欲盛ん、
日々新たであれ。



それにひきかえlenteのほうは、じっくりと、むやみと焦らずに、だいじな原点や本質を疎かにしないで。ゴルフでいえば、規則第一章ゴルフ精神やアマチュアリズムを疎かにしないで、となるわけである。


今日のゴルフ界は、飛距離追求のパワーゴルフ、市場経済的マネーゴルフ、媒体側の事情に偏るテレビゴルフ、などなどへの傾斜が止まらない。頂点にプロたちを担ぎ上げたヒエラルキーが築かれている。


プロたちがアマチュアに教えを請うた赤星兄弟時代は遠くなりにけりで、裾野で球を打ち興じる。本来ゴルフの主役であるはずのアマチュアの存在感は希薄だ。


ヒエラルキーは担ぎ手の心許ない神輿のようだ。ゴルフ人口の減少が止まらないし、ジュニアゴルフは盛んなようだが、プロを夢見る親子の一団にも見える。



もともと軽便なゴルフ環境に恵まれていないわが国だ。英米のそれと比較にはならないが、アマチュアならではのお楽しみに変わりはない。


数量追求のゴルフのい前に中味を喜ぶゴルフを、と提案したくて、筆者はかつて「脱欲のゴルフ」「士農のゴルフ、工商のゴルフ」を書き綴った。


マッチプレーを専らとして30年を超える。こんなに心躍り、奥が深く、心配りがあって、しかも簡便な遊び方はない。パー、18ホール、14本、ガチのルール、ハーフの食事、1日仕事の往復、高いコスト、新製品・・・・・そうしたゴルフの呪縛から解放されれば、もっとラクに遊べ、もっと人との交わりをだいじにできる。



ゴルフに忠実(まめ)な人にも新たにゴルフを始める人にも幸が訪れるのに、とそう思う。


もはや経済大国意識に流されていてはゴルフもまた先が見えなくなる。自分たちのゴルフを編み出す転機はもうとっくに来ている。

鈴木康之

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