2016年9月29日木曜日

女子ゴルフのイ・ボミ、キム・ハヌル、チョン・インジの意外な共通点とは?

929日から始まる女子プロゴルフのメジャー第3戦『日本女子オープン』。日本人選手の活躍が期待されるなか、注目されるのは前回王者として久々に日本ツアーに出場する韓国のチョン・インジだろう。
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2週間前にアメリカツアーのメジャー最終戦『エビアン選手権』で通算21アンダーでの優勝という快挙を成し遂げているだけに、勢いがある。
しかも、韓国はもちろん、アメリカや日本でもメジャータイトルを獲得し、“メジャークイーン”の異名を持つ逸材だ。今年で22歳とまた若く現役の女子大生でもあるが(現在は休学中)、その勝負強さは目を見張るものがある。「変数ではなく常数と戦う」という独特のゴルフ哲学とコース攻略法は、一般ゴルファーたちも参考になる発想として韓国でも取り上げられていた。
韓国ではこのチョン・インジと、昨季の日本ツアー賞金女王で今季も賞金女王レースの1位を走るイ・ボミの対決に注目が集まっている。韓国のゴルフメディア『マニアリポート』も「日本女子オープン、“メジャークイーン”チョン・インジvs“日本ゴルフ女王”イ・ボミが優勝に挑戦」と銘打った見出しとともに、日本女子オープン展望を紹介しているほどだ。
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年齢もスタイルも異なるふたりだが、韓国メディアがふたりの共通点として挙げるのが“笑顔”だ。チョン・インジはプレー中、常に笑顔を絶やさないことから“微笑天使”と呼ばれ、ご存じの通りイ・ボミは韓国時代から“スマイルキャンディ”と呼ばれてきた。人気の浮き沈みが激しい韓国女子ゴルフ界の新旧1位でもあるふたりは、笑顔が有名な女子ゴルファーでもあるのだ。
ただ、彼女たちの笑顔にはワケがある。例えばチョン・インジは、2年前に韓国ツアーで初めて予選落ちしたことが大きなキッカケになったという。重圧に負け、本来の自分を見失かったことに気づき、「自分らしく楽しく面白いゴルフをしよう」と思い直し、以降、コース上でも笑顔を絶やさなくなったという。
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イ・ボミの笑顔は彼女のポジティブ思考の表れだ。しかも、彼女はファンやギャラリーにも笑顔を振りまく。以前、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)の取材でも「ファンの声援には笑顔で応えたい」と話しているが、イ・ボミは笑顔を力に変えるタイプなのだ。
ちなみに韓国にはもうひとり、笑顔が有名な女子ゴルファーがいる。日本でも活躍するキム・ハヌルだ。キム・ハヌルといえば、「ミニスカートを履き続ける」も有名だが、ピンチやミス時も微笑を絶やさないことから韓国時代から“微笑天使”、“微笑クイーン”とも呼ばれてきた彼女は、日本では“スマイルクイーン”の愛称で有名なのだ。
どんなときも笑顔を忘れないイ・ボミ、キム・ハヌル、チョン・インジ。韓国の女子プロたちの多くはSNSなどでプライベートを積極的に公開し、そこでもたくさんの笑顔や意外な表情を披露しているが、彼女たちがグリーン上で見せる“笑顔”SNSのそれとは明らかに異なる。
韓国メディアはその笑顔の裏側に、「強いメンタルがある」と評価する。一般紙『毎日経済』も、「女子ゴルフの勝負師たちの共通点はグリーン上の“鋼鉄メンタル”」と題した記事の中で、こう綴っていた。
「イ・ボミ、キム・ハヌル、そしてチョン・インジの微笑みには、根性がある。彼女たちはミスショットを出しても怒りを露わにせず、笑顔で解決する。痛みを堪えた笑顔はより眩しいものだ。そして強い。彼女たちの笑顔は、“鋼鉄の笑顔”のだ」
そんな“鋼鉄の笑顔”の持ち主たちが虎視眈々と狙う『日本女子オープン』のタイトル。はたして今日から始まる大会で、最後の最後に会心の笑顔を浮かべるのは誰だろうか。韓国人選手の笑顔もさることながら、日本人選手の笑顔にも期待したい。
「変数ではなく常数と戦う」
「考えてみてください。スイングというものは毎回完璧にはできないものです。つまり、スイングに依存するのではなく、コース攻略によってスコアを作り出す能力が必要なのです。ですから、コース攻略に対する理解度とともにメンタルがとても良くなければなりません」
ならばそのメンタルをいかにして鍛えるべきなのか。
「メンタルというものは、人間の天性的なものです。メンタルトレーニングというものは、最も理想的な方法で考え行動するためのものですが、ほとんど洗脳させるくらいの勢いで行わなければなりません。そうやって天性を変えてしまうのです。それでこそ試合でも理想的なプレーができるようになるのです」
そう語ったパク・ウォンの体系的で専門的なメンタル・トレーニングの結果、チョン・インジはこう考えるようになったという。
「天気や一緒にラウンドする相手のプレーなどは変数であり、コースは変わることがない常数。つまり、変数と闘うのではなく、常数との闘いを勝ち抜いてこそ、良い結果が出ると思うんです」
◆師からチョン・インジに送るメッセージ
一般的にトッププロのコーチと言えばスイングコーチを連想する人が多いことだろう。また、レッスンプロと聞くと技術を教えてくれる指導者というイメージがある。が、パク・ウォンはチョン・インジのメンタルや、ゴルフに対する考え方にも大きな影響を与えてくれた恩師だったわけだ。そんな恩師パク・ウォンは、チョン・インジにこんなメッセージを送っている。
「ケガなく無事に選手生活をやり遂げてくれればうれしいですし、単純にゴルフがうまい選手ではなく、コースの内外を含めすべての人々のロールモデルになってくれるとうれしいですね。そして、これはインジのために言うのですが、お菓子を食べる量をちょっと減らしてくれればいいと思います(笑)」
恩師にとって“若き女王”は、今でもかわいい教え子のようだ。

(文=慎 武宏)

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