2015年11月30日月曜日

◆素敵な三つの話

「美談」こんな話を知って自分の心の中にしまっておくだけでも、自分の生き方や行動は変わっていくはず?読んでみてください。
ki銀次郎




★「詐欺」
ロベルト・デ・ビンセンツォ(プロゴルファー)
アルゼンチン出身のプロゴルファー、ロベルト・デ・ビンセンツォはあるトーナメントで優勝し、賞金の小切手を受け取って帰る準備をしていた。



彼が一人で駐車場に向かっていると、一人の女性が彼に話しかけてきた。
彼女は彼の勝利をたたえた後、自分の子供の重い病気にかかって死にかけているが、お金がないために医者に見せることもできないと彼に伝えた。

 
それを聞いて哀れに思ったビンセンツォは
「これが子供のために役立てば良いのだけど」といって、獲得したばかりの賞金の小切手を彼女に握らせた。


翌週、彼がカントリークラブで食事をしていると、テーブルにゴルフ協会の職員がやって来た。
「先週、駐車場にいたやつらが、君がトーナメントで勝った後、そこで若い女性に会っていたといっていたが・・・」


ビンセンツォはうなずいた。
「実は」と職員は続けた。
彼女は詐欺師なんだ。病気の赤ん坊なんていないんだ。結婚すらしていないんだよ。君はだまされたんだ」


『すると、死にかけている赤ん坊なんていないのか?』
「そのとおりだ」





するとビンセンツォは笑いながらこう言った。
『そうか。そいつは今週で一番の良い知らせだ』と。




★「金庫破り」
あるところに、開けられない金庫はないと言われる金庫破りがいた。男の仕事はすばやく、都会の金持ちや警察に噂される人間だった。
男の名前はジミー・バレンタイン。


ある日、ジミーは田舎へ仕事に出かけた。それとなく街の様子を伺いながら、銀行へ立ち寄ったとき、彼は出てきた女性に目を奪われた。彼女は銀行の経営者の娘だった。

 


その美しさに魅せられたが最後、彼は仕事をすっぱり辞めた。街の靴屋になった彼は、周囲にラルフ・スペンサーと名乗ることにした。



一年後、ラルフは彼女と婚約し、前途ある美しいカップルとして羨ましがられた。
結婚が迫ったある日、彼女の銀行に最新式の金庫が届けられた。
それを見に集まった人の後ろに、笑みを浮かべた一人の男が立っていた。ジミーを追い、彼を捜し続けた探偵だった。
そのとき事件は起こった。



大人たちが金庫の前でなんやかんやと話している隙に、少女が金庫の中に閉じ込められてしまったのだ。
泣き叫ぶ子どもの声が響き、パニックになる母親。
「隣町までいかないとカギは開かない」
「その間にこの子は窒息してしまうわ!」


その時、若くて美しい婚約者が彼をじっと見つめた。
「どうにかならないの?」


その瞬間、彼の心は決まった。
彼は彼女の髪につけられていた薔薇のピンを取ると、友人に渡すはずだった七つ道具のアタッシュケースを開けた。
唖然として見守る周りを無視して、彼はいつものように金庫に向った。


五分ほどすると金庫はいとも簡単に開いた。歓喜の声があがる中、彼はそっと銀行を出た・・・・・
その後ろ姿に探偵が声をかけた。
「どちらへ行かれるんです」
『やあ・・・あなたでしたか。警察へ行こうと思っていたんですよ』
「・・・何のことを言っているんですか?末永くお幸せに、ラルフ・スペンサーさん」






★暖かいスープ
フランスに一人の日本人留学生がいた。彼が渡仏したのは第二次世界大戦が終結して間もなく、日本がオリンピックに参加することもままならなかった頃のこと。



彼が最初に訪れた下宿先では、彼が日本人とわかるや否や断られた。
「夫の弟がベトナムで日本人に虐殺された。あなたには何の恨みもないがこの家に日本人を入れたくないのです」


その後住居は定まったが、貧しい学生生活を送ることになった。
彼は大学から少し離れたレストランで毎週土曜は夕食をとった。
そこは若い娘と母親が営む小さな店で、パリの雰囲気を漂わせていた。



彼は『今日は食欲がないから』などと言いながら、いつも一番安いオムレツを注文した。


ある夜のこと、通い慣れたそのレストランで娘さんが黙ってパンを2つ出した。
パンは安いので会計の時にそのまま支払うことにした。食事が済みレジの前で二つ分のパンの料金を払おうとすると、他の客にわからないように人差し指を口にあて、目で笑いながら静かに首を振り、一人分の料金しか受け取らなかった。

 
彼はかすれ声で『ありがとう』と言った。
それ以降、いつも半額の二人前のパンが出た。
何ヶ月か経った冬の寒いある晩、彼は無理に明るく笑いながらオムレツだけ注文した。
店には二組の客がいたが、どちらも温かそうな肉料理を食べていた。




そのとき店のお母さんの方が湯気の立つスープを持って近寄ってきた。震える声でそれを差し出し小声でいった。
「お客様の注文を取り間違えて余ってしまいました。よろしかったら召し上がってください」

 

小さい店だから注文を取り間違えたのではないことぐらい、よく分かる。



目の前に置かれたどっしりとしたオニオンスープは、ひもじい彼にとってどんなにありがたかったことか。
涙が落ちるのを気づかれぬよう、彼はひとさじ一さじ噛むようにして味わった。



フランスでも辛い目に遭ったことはあるが、この人たちのさりげない親切ゆえに、わたしがフランスを嫌いになることはないだろう。いや、そればかりではない、人類に絶望することはないと思う。

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