2013年9月12日木曜日

ゴルフを以って人を観ん

緑にお遍路さんたち
ゆめ、ご油断召されるな。
芝の上のあなたは、裸なのですぞ!

(夏坂健)
“名設計家「井上誠一」に魅せられて”

(写真家 山田兼道)

思えばコース設計とは途方もないスケールの仕事である。
なにしろ大地をキャンバスに見立てて、そこに繊細かつ豪胆な線を描き、立体感をもたせ息吹を与えるのだ。
世にあまたの創作活動が在ろうとも、これ以上に雄渾(ゆうこん)な仕事もないだろう。


ところが残念、多くのゴルファーはスコアメイクに忙殺されて、名画と凡画の判定もつかず、とりあえず申し分のないスコアが出ると


「いいコース」だと言い、
スコアが悪いとコースの悪口にすり替える。


ときには料金の高いだけのリゾートコースに、信じられないほどの評価を与える人もいる。


コースが見えたら一人前とスコットランドの俚諺(りげん=世間にいいつたえられたことわざ)は言うが、
わが国の水準はいまだ半人前、広くて平坦でハザードが少ないほうが歓迎されるとは情けない。


コース設計の世界ではチャールズ・ヒュー・アリソンがあまりにも有名である。(オックスフォード大学の造園学部出身、とりわけ小堀遠州作の庭に惚れ込み、以後のコース設計に「わび・さび」が多くとりいれられた。巨匠ハリー・コルトの一番弟子。廣野ゴルフ倶楽部、川奈ホテル富士コース)


日本でアリソンの弟子といわれるのが、井上誠一と廣野ゴルフ倶楽部で長年支配人を務めた上田治である。


その愛弟子である井上誠一の作った40コースのすべてが日本民族の心象風景と重なるものばかり。
「日本庭園は、理詰めの文化の究極にあると思います。美しい山河と四季の情景を表すのに花鳥風月と言いますが、井上さんの目指したコース造りも、ゴルフは一種のフィルターにすぎず、彼が目指したのは現世にあって極楽浄土の再現ではないか、そのように私は考えたのです。いかがでしょうか」


コースを歩きながら、山田さんが熱っぽく語る。
結局プレーは二の次、私たちはいつもコース設計について真摯に語り合いながら一日を過ごすのだった。


(>_<)
こういうゴルフの楽しみ方もあるんですね。
ゴルフは本当に奥が深いですね。
ki銀次郎

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