2014年9月11日木曜日

ゴルフ・プレー前夜に読むクスリ 夏坂健

レッスン書を読まなくてもうまくなる法




『キャディバッグは持ち主の人柄を如実に物語る』


キャディバッグをのぞいてみると、持ち主の性格と腕前がおぼろげながら見えてくるから愉快である。



たとえば先日、われわれ3人のところに飛び込んできた中年男性のバッグを見ると、ヘッドカバーの色も形もてんでバラバラ。
よく見ると、メーカーがサービスでつけてくれた毛糸の安物ばかりで、しかもそのメーカーが全部違っていた。



アイアンに目を移すと、これが安売りショップに一番出回っているシロモノで、3番と4番は打った形跡がなく、
9番とウェッジの2本に限って、フェースの背後に鉛が貼ってあるのも
不可解だった。



意地悪ついでにキャディバッグの全体を眺めると、これまで行ったコースの紐つき丸シールが、おそらく筆おろしのとき以来くくられたまま、ざっと40枚以上ボロのようにぶら下がっている。
ほとんどゴミの塊の様相を呈している。



これはご本人にしてみると、観光客が景勝地でスタンプを押すようなものだろうから、とやかく言ってはいけない。



結論として、このゴルファー氏は、身なりにこだわらず、道具に関心を持たず、ロングアイアンを苦手とし、ショートアイアンにも問題を抱えているらしい。
つまり自己流のダッファーらしき肖像画が浮かび上がってくるのだ。



キャディバッグから受ける印象を、
軽く見過ごしてはいけない。
その人のゴルフのすべてがここにある。



外見を飾り、プロの真似をするのがカッコいいと思い込み、スコアばかりに汲々とする人のバッグからは、妙にデコレーションが浮き上がった下品な感じを受ける。



一方、ゴルフの奥深さに魅せられ、ゲームの歓喜と苦悩を知る本物ゴルファーのバッグには、
バランスのとれた上品な静謐(せいひつ)が宿っているものだ。



数を見ていくうちに、おのずと鑑賞眼が養われていくからおもしろい。



さてスタート時間がやってきた。
「どうも、どうも」と姿を現したご本人を見た瞬間、あまりに肖像画と似すぎているので、私は笑いをこらえるのにひと苦労。



まぎれもなく、キャディバッグは持ち主の人柄を如実に物語っていたのだった。
夏坂健

(><)
鉛を貼るのは工夫ではなく、不安を貼っているようなもの。
コースの紐つき丸シールを、しかも有名なコースや料金の高いコースのものを何枚もぶら下げたままの人は、見栄をぶら下げている。



こういう人は、ティアップを一番前にするし、ルールなどではカジュアルウォーターのような自分に有利なルールだけ暗記している。



最新ドライバーに直ぐ飛びついて購入している人は、飛距離にコンプレックスをもっているし、パターも流行りのものに手をだしているような気がする。



アイアンを見ると、その人の技量を如実にあらわしているような気がします。
上級者は、ほとんどマッスルバックアイアンを使用しているし、
上級者でなくてもマッスルバックアイアンをキャディバッグに入れている人は、それを打ちこなしたくて一生懸命に練習しているような気がします。



また、上級者はけっしてつるつるに減っているグリップは使用していない。
“グリップ”にはこだわりがあり、滑らないように新しいものと随時交換しています。



“板についている”という言葉があるが、上手な人は道具が整っているし、全体のバランスからその上手さを匂わせているような気がします。
ki銀次郎
静謐(せいひつ)=静かで落ち着いたさま

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