私は1982年に新社会人となり紳士大手アパレルへ入社しました。
入社同期は、アメリカンフットボールチームをもっていた会社で、コネクションを使っての入社でした。
配属先は当時36店舗展開していた丸井、店舗が多いため残業も社内で一番多い部署でした。
すぐ上の先輩社員は、売場から正社員試験をパスしたばかりの10歳上のO主任でした。課長は仙台の売場からやっとの思いで本社にきた、出世意欲の旺盛な部長の腰巾着でした。
土日は売場応援で数字を稼ぐのに大忙しでした。
ある日、会社で1、2を争うかわいいフットボール部の女子マネージャーが課長のところにやって来て、春の大会のスケジュールを持ってきました。
「課長●●君(私)を全部の試合に出してくださいね」と頼まれると、笑顔でOKしていたにも関わらず、私を呼び出し試合に出るのは最終戦だけにしろと言う!
私はこの世の終わりのようにしょげて仕事をしていました。
そんな私の気持ちを察してくれて0主任は、
「課長、こいつは格闘技をやっているんです、練習と試合は全部出してやってください。考えても見てください、新入社員のこいつが土日に売場へ行って、1億5千万円予算のいったい何%売ってくるというのですか!気持ちよくフットボールをやらせてやってください」と言ってくれました。
私はこの0主任の男気に、階段の踊り場で涙しました。
それからはこのO主任を誰よりも早く出世させようと、あちこちの呑み会に参加してはO主任の評判を上げるような会話をし、仕事は一生懸命にやりました。
7年後、課長とO主任は立場が逆転しました。
人を張り切らせるのは、やっぱり「心」ではないでしょうか。
ki銀次郎
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