2015年8月13日木曜日

◆福沢コーチと二人三脚

プロの壁に立ち向かう寺嶋寛大【マリーンズ浦和ファーム通信#3


春季キャンプで一軍のレベルを痛感
大学時代は、なにをやってもうまくいった。創価大学では1年秋に正捕手になり、4年時には主将としてチームを引っ張った。リーグ屈指の注目選手。

全日本大学野球選手権、明治神宮野球大会でも存在感を見せた。そして寺嶋寛大捕手はドラフト4位で千葉ロッテマリーンズに入団する。自信と夢を持ってのプロ入り。誰もが引退したばかりの里崎智也捕手の後釜の一人として高い期待をかけた。

しかし、やはり、プロの壁は厚かった。今、寺嶋はファームでもがき苦しみながらも、少しずつ成長をしている。


「春のキャンプを一軍で参加をさせてもらって唖然としました。同じ捕手だと吉田さんの肩の強さ。田村のボールをとってから投げるまでの速さ。自分とは明らかに違った」
春季キャンプは一軍入りしたが、その後、二軍落ち。ファームの本拠地のあるロッテ浦和球場では福沢洋一バッテリーコーチが待っていた。そこからマンツーマン指導の日々が始まる。

「いいものを持っているけど、すべて荒削り。だから一つひとつ丁寧に教える必要があると思った。同じことの繰り返し。その反復を毎日、しっかりとできるかどうか。植え付けて、すり込ませていく。今はその途中」福沢コーチはそう話す。

まずは対話を重視した。基本練習をする意味。今後、どのような目標設定をすればいいのか。

様々なことを話し合い、納得した上で指導を始めた。大学時代には筋トレをしていなかった寺嶋に「捕手は下半身だ」とウエイトトレーニングも薦め、2日に1度の割合で行うようにした。すべてを理路整然とカリキュラム化し、練習メニューを作っていった。

だから寺嶋も納得し理解した上で練習に取り組んでいる。二軍落ちした際には戸惑い悩んでいた若者の目はキラキラとした輝きを取り戻しつつあった。

「オマエは10年後にどうなっていたい?どのような姿をイメージしている?そのためにはどうすればいい?このままでその姿に辿りつくか?未来のために今のこの一瞬があるんだ。今のままでいいか?逆算して考えてみろ」

これはインサイドワークにもつながる考え方だった。成功した姿をまず具体的にイメージし、そこに行きつくまでにはなにをどのようにすればいいかのプロセスを考える。それは打者をどのように抑えるかという捕手独特の逆算式リードにもつながる。

「ものの考え方次第で、色々と変わる。それはリードも同じだよ」と福沢コーチは笑いながら、寺嶋の肩をポンと叩く。まだまだすべてにおいて一軍レギュラーレベルとはいえない。そんな悪戦苦闘する姿を担当コーチはベンチで一挙一動に注目をし、気になったことは声を掛ける。そんな日々の中で少しずつ成長がある。

いつしか若者も野球漬けの毎日を過ごすようになった。試合後にチャートを見て反省をする。一軍の試合を見て気づいたことをメモする。福沢コーチからの教えをノートに書き込む。

休日に一人、近くのコーヒーショップに足を運んでゆっくりするのが唯一の息抜きだ。しかし、そんな一人の時間も試合の振り返りをしてしまう。自分のリード、先輩のリード、相手捕手のリード。思い比べ、なにが正解かを考えてしまう。

野球しか考えられない日々だが、この世界で成功する自分の未来像を思い描いた時、今はこれしかないと納得できる。

若者の挑戦は始まったばかり。夢は無限に広がっている。まずは2年後、注目を集める後輩右腕がプロ入りするまでに一軍で結果を残し、定着をしていたい。一軍の舞台で、お互いの夢をぶつけ合う対決をしたいと思っている。そのためにも野球漬けの日々は続く。

千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章
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福沢コーチの「コーチの神髄」を感じた文章なので掲載しました。
プロ野球の2軍は過酷である。

ki銀次郎

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